FPSゲーマーの皆さん、そして『コール オブ デューティ(CoD)』シリーズのファンの方々、衝撃的なニュースが飛び込んできました。長年にわたり、我々のゲームライフを支えてきたアクティビジョンが、その新作リリースのペースを落とすという、歴史的な決断を下したようです。
その引き金となったのは、最新作『コール オブ デューティ ブラックオプス 7』の予想外の売上不振です。
長らく、「CoDは毎年出るもの」という暗黙の了解がありました。『モダン・ウォーフェア』と『ブラックオプス』が、まるで季節の風物詩のように交互にリリースされ、我々のカレンダーを埋めてきたわけです。しかし、この連続リリース体制がついに限界を迎えたのかもしれません。
今回の売上不振の背景には、『バトルフィールド 6』や『アークレイダーズ』といった競合タイトルとの激しい競争はもちろんのこと、ファンが長年感じてきた「ゲームプレイの繰り返し」に対する疲弊感があったと推測されます。
BREAKING: Activision says they will no longer do 'back to back' Modern Warfare or Black Ops releases in Call of Duty
— CharlieIntel (@charlieINTEL) December 9, 2025
"The reasons are many, but the main one is to ensure we provide an absolutely unique experience each and every year." pic.twitter.com/pzWEnfir0M

1. 売上不振が告げる「年刊CoD」の終焉
複数の地域で、『コール オブ デューティ ブラックオプス 7』の販売が低迷しているという事実は、アクティビジョンにとって非常に重い現実を突きつけました。
この結果を受けて、同社が「今後は『モダン・ウォーフェア』と『ブラックオプス』の連続発売を行わない」と発表したことは、シリーズの歴史における重大な転換点を意味します。

1.1. なぜ『Black Ops 7』は苦戦したのか?
売上不振の要因は複雑ですが、主な要素として以下の点が挙げられます。
- 激化する競争環境
『バトルフィールド 6』のような老舗のライバルに加え、新興の脱出型シューティングゲームである『アークレイダーズ』など、多様なシューティングゲームが市場に溢れています。CoDシリーズの独壇場だった時代は終わり、パイの奪い合いが激しくなっています。 - 「ライブサービス」との自己参照性の矛盾
無料プレイの『ウォーゾーン』が成功し、ゲームを長期的に運営する「ライブサービス」モデルが定着しました。しかし、このモデルは「毎年新しいパッケージタイトルを出す」という旧来の戦略と矛盾をきたします。プレイヤーは、時間をかけて育成した『ウォーゾーン』の進捗を、毎年リセットされるパッケージ版にどこまで投資すべきかというジレンマを抱えています。 - マンネリ化という名の疲弊
ゲーマーからの最も手厳しい批判は、「ゲームプレイが繰り返されている」という点です。毎年、新しいマップや武器が追加されても、根幹の体験が変わらなければ、ファンは次第に飽き、「また同じCoDか…」という諦めにも似た感情を抱いてしまいます。
1.2. アクティビジョンの「謝罪」と「自信」の狭間
アクティビジョンがメッセージの中で「ゲームプレイの繰り返しに対する批判に対し、謝罪の意を表しながらも、敗北主義的なトーンではない」と述べた点は注目に値します。これは、開発チームが『ブラックオプス 7』自体には自信を持っている一方で、ファンの意見こそが最も重要であると認めている、という人間的な感情が垣間見える部分です。
「我々は間違っていなかったが、ファンはもっと大きな変化を求めていた」という、複雑な心境が透けて見えるようです。この自己認識が、リリースの鈍化という決断に繋がったのでしょう。

2. リリース鈍化戦略がもたらす「真のメリット」とは
アクティビジョンが年間リリース体制を崩すことで、短期的な収益は減少するかもしれません。しかし、この戦略は中長期的にシリーズの課題解決、ひいてはFPS市場全体に大きなメリットをもたらす可能性があります。
2.1. 開発期間の延長
リリース間隔が長くなるということは、各開発チーム(TreyarchやInfinity Wardなど)が、新作にかけられる開発期間が大幅に延長されることを意味します。彼らは「毎年、他に類を見ない体験を提供すること」を目指す、と表明しています。
これは、単にグラフィックを向上させるだけでなく、根本的なゲームプレイメカニクスや大胆なストーリーテリングに挑戦する余裕が生まれるということです。
例えば、『ブラックオプス』が持つスパイ要素や、『モダン・ウォーフェア』が持つリアルな戦場の描写を、既存の枠を超えて深化させることが可能になります。ファンが本当に求めているのは、「CoD」という名のマンネリではなく、驚きと感動を伴う「新しい体験」なのです。
2.2. ライブサービスとパッケージの理想的な共存
リリース間隔が空けば、その間は『ウォーゾーン』のような無料プレイのライブサービスが、収益とコミュニティ維持の核となります。新作がリリースされる年は、その新作パッケージ版がライブサービスに新しい要素やエンジンを組み込むという、相互補完的な関係が築きやすくなります。
この戦略は、プレイヤーにとって「毎年新作を買うか迷う」というストレスから解放され、一つのゲームをより長く、深く楽しむという持続可能性を提供します。

3. 『Black Ops 7』の未来:無料トライアルとシーズン01の重要性
売上不振にもかかわらず、アクティビジョンは『ブラックオプス 7』のサポートを継続すると明言しています。これは、シリーズへの責任感を示すと同時に、巻き返しを図る最後のチャンスとも言えます。
来週には無料トライアルが実施され、さらに2倍の経験値(ダブルXP)も提供されるとのこと。これは、売上が低迷している今こそ、「とりあえず試してみてほしい」という開発側の切実な願いの表れです。レビューが低迷している現状に対し、実際にゲームを体験してもらうことで、「レビューサイトの評価と、自分がプレイした際の感覚とのズレ」を認識させたいという戦略的な狙いが見えます。
アクティビジョンは、シーズン01を「過去最大級のアップデートの一つ」と称しています。ここで、プレイヤーの不満点(ゲームプレイのマンネリ、バグなど)をどれだけ革新的に改善できるかが、今後の『ブラックオプス 7』の運命、そしてアクティビジョンへの信頼を取り戻す鍵となります。

