多くのプレイヤーが熱狂し、Steamでトップクラスの同時接続者数を記録している『ARC Raiders』。SF設定や独特の雰囲気、そして緊張感あふれるゲームプレイが話題となり、その勢いは止まるところを知りません。
しかし、この盛り上がりの裏で、多くの人が見過ごしている決定的な事実があります。それは、開発元のEmbark Studiosが、本作を「エクストラクション・シューター(脱出シューティング)」ではなく、「エクストラクション・アドベンチャー(脱出アドベンチャー)」と呼んでいる、という点です。
私たちは無意識のうちに『Escape from Tarkov』や『PUBG: Black Budget』といったゲームと同じカテゴリーに本作を分類してしまいがちですが、その「アドベンチャー」という一語には、従来の脱出ゲームとは一線を画す、深遠な意味が込められています。この一文字の違いこそが、本作がこのジャンルを再定義する可能性を秘めている理由です。
この記事では、『ARC Raiders』がなぜ単なる撃ち合いのゲームではないのか、そして「アドベンチャー」という要素がプレイヤー体験にどのような変化をもたらしているのかを考察します。
Source:Notebookcheck

なぜプレイヤーは「シューター」と誤解するのか
『ARC Raiders』がSteamで大成功を収めた一方で、Redditのスレッドやストリーミングのハイライトを見ても、ほぼすべてのプレイヤーが本作を「エクストラクション・シューター」と表現しています。この認識のズレはどこから生まれるのでしょうか。

「脱出」という核は同じ!共通のゲームプレイ様式
当然ながら、ゲームプレイの核となる要素は従来の脱出ゲームと共通しています。
- 略奪(ルート): 装備品や資源を集める。
- サバイバル: 環境や敵対勢力、他のプレイヤーから生き残る。
- 脱出(エクストラクション): 集めた物資を持ってマップから離脱する。
この共通の骨格があるため、プレイヤーは無意識に、最も近しいジャンルである『Escape from Tarkov』などに分類してしまいます。特に、プレイヤー間の不信感や裏切りといったPvP要素が色濃く出ている現状(前回の記事で言及した通り)も、「シューター」というイメージを強化しています。
Redditでの唯一の言及と「見過ごされる差異」
興味深いことに、Redditでは昨年の投稿でたった一度だけ、本作が「マルチプレイヤー・エクストラクション・アドベンチャー」と正確に表現されたスレッドがあったそうです。しかし、そのスレッドはわずか17件のコメントで忘れ去られてしまいました。
誰もが気づいているのに、誰もが無視している、この「アドベンチャー」という言葉にこそ、開発者の意図と、本作の真価が隠されています。
『ARC Raiders』が「アドベンチャー」である理由
開発元のEmbark Studiosが、あえて「シューター」という派手な名称を避け、「アドベンチャー」という言葉を選んだのには、明確な理由があります。それは、本作が従来の脱出ゲームが持たなかった**「物語性」と「探索の動機」**を深めているからです。

奥深い世界観と軽度なRPG要素
『ARC Raiders』のミッションは、単なる「アイテムを集めて帰る」という戦術的な襲撃で終わりません。
プレイヤーは埃っぽい砂漠や朽ちた工業地帯、地下研究所といった広大なマップを探索します。探索の目的はアイテムだけでなく、世界そのものの謎を解き明かすことにあります。
さらに、プレイヤーがミッションをクリアする過程で、少しずつ世界観の謎や登場するキャラクターたちの背景が明らかになっていきます。従来の脱出シューターが「生存」に特化していたのに対し、本作は「物語」がゲームを進める強力な動機付けになります。
最後に、プレイヤー体験が単なる銃撃戦の連続ではなく、隠された場所を見つけたり、物語のピースを繋げたりする「冒険」の感覚に近いのです。
新ジャンル「エクストラクション・アドベンチャー」の定義
従来の脱出シューターが「略奪→生存→脱出」というループを回すことでプレイヤーを中毒にさせたのに対し、「エクストラクション・アドベンチャー」は「探索→物語→脱出」という、よりRPG要素の強いループを提唱していると言えます。
この違いこそが、本作を『Escape from Tarkov』などと決定的に区別する点であり、今後の脱出ゲームというジャンルが、PvPの緊張感だけでなく、より奥深い物語性を取り込んでいくという「変化の知覚」を私たちに与えてくれるのです。

ジャンルを正しく認識することの重要性
『ARC Raiders』は今、大勢のプレイヤーに遊ばれています。しかし、もし多くのプレイヤーがこのゲームを「ひたすら撃ち合って、裏切り合うゲーム」だと認識し続けた場合、ゲームの真の魅力である「アドベンチャー」要素が無視されてしまうかもしれません。
開発者が用意した奥深い世界観や物語は、あくまで「撃ち合いに疲れたプレイヤーのための、気の利いたおまけ」だと誤解されかねません。
私たちは、このゲームが持つ独自の価値――PvPの緊張感と、世界を探求するRPG的な好奇心を両立させた「エクストラクション・アドベンチャー」という新ジャンル――を正しく認識し、評価する必要があります。
って、そんなことはどうでもいいから、設計図の出現率をもう少しだけ上げてください…この前、ステラモンティスの夜襲とか追加されましたけど、あそこはカオスでしかないので…


