2025年初頭に登場し、その圧倒的なパフォーマンスでハイエンド志向のゲーマーを熱狂させた「PS5 Pro」。そのPS5 Proに、早くも“新型”が登場したという情報が飛び込んできました。
モデル名は「CFI-7121」。
しかし、早合点してはいけません。これは「PS5 Pro 2」と呼ばれるような、ゲーム体験を一変させるメジャーアップデートではありません。ソニーが過去のPlayStationでも行ってきた、製造プロセスや信頼性を高めるための「内部的な改訂モデル」です。
すでに初期モデル(CFI-7019)を手に入れた人は、買い替える必要はあるのか? これから買う人は、何を基準に選ぶべきか? その「わずかな違い」の正体を、冷静に分析していきましょう。
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結論!ゲームパフォーマンスは「全く同じ」
まず、すべてのゲーマーが知りたい最も重要な結論から。 この新しいPS5 Pro (CFI-7121) は、初期モデル (CFI-7019) と比較して、ゲームのパフォーマンスに一切の違いはありません。
グラフィック性能、演算能力、AI性能、そして改良されたレイトレーシングといった、PS5 Proが誇るすべてのパワーは完全に維持されています。この新モデルを買ったからといって、ゲームがより滑らかに動いたり、ロードが速くなったりすることはないのです。
では、ソニーは一体、何を変更したのでしょうか? 答えは、「快適性」と「製造効率」の向上にあります。

変更点① 冷却システムの最適化と「静音化」
最大の体感差が生まれる可能性があるのは、この部分かもしれません。 ソニーは冷却システムの内部構造を見直し、ヒートシンク(放熱板)の一部を、放熱性を損なわない範囲で軽量なプラスチック素材に置き換えました。
さらに、冷却ファン自体も改良されています。 初期テストの報告によれば、高負荷なゲームをプレイ中でも、ファンノイズが前モデルと比較して約2デシベル低減されているとのこと。
たかが2デシベルと思うかもしれませんが、静かな部屋でのプレイ中、耳障りなファンノイズが少しでも抑えられるのは、没入感を高める上で大きなメリットです。熱安定性の向上にも寄与しており、より静かで安定したゲーム環境が期待できます。
変更点② 電源ユニットの効率化と「軽量化」
内部的な調整は、電源ユニット(PSU)にも及びます。 新しいPSUは若干コンパクトになり、電力効率が向上しました。これにより、ゲームプレイ中の消費電力が推定で3~4%削減されています。
これは月々の電気代を劇的に変えるものではありませんが、ハードウェアの信頼性向上と「エコ」への配慮と言えるでしょう。
そして、これらの内部的な調整(ヒートシンクの軽量化やPSUの小型化)の結果として、本体重量も約80~100グラム軽くなっています。品質を損なうことなく製造コストや物流コストを最適化したい、というソニーの企業努力の表れです。

コントローラーも「V3」へ。ただし内部調整のみ
PS5 Pro本体と時を同じくして、付属の「DualSenseコントローラー」も「V3」と呼ばれる新バージョンに切り替わっています。
ただし、こちらも変更はごくわずか。 バッテリーコネクタの設計変更や、振動モーターのサプライヤー(供給元)が変わるなど、内部的な調整が主です。一部で噂されていた「取り外し可能なバッテリー」の搭載は見送られ、バッテリー駆動時間も従来モデルと変わりありません。
唯一の目に見える(?)違いとして、背面のマイクが廃止されたとの情報もありますが、これもプレイ体験に大きな影響を与えるものではないでしょう。
これは「改善」であり、「進化」ではない。慌てる必要なし。
今回のPS5 Pro (CFI-7121) へのアップデートは、ソニーの伝統的な「製造プロセスの効率化」「内部コストの削減」「ハードウェアの信頼性向上」戦略の一環に過ぎません。
我々ユーザーにとってのメリットを要約すると、「少し静かになり、少し省エネになり、少し軽くなった」という点に尽きます。
したがって、結論は明確です。 すでにPS5 Pro(CFI-7019)をお持ちの方が、わざわざ買い替える必要は全くありません。
そして、これからPS5 Proの購入を検討している方にとっては、朗報です。 ソニーはこの変更を公式に発表しておらず、価格も据え置きのまま、市場の在庫が旧型から新型へと静かに入れ替わっていきます。つまり、これから購入する人は、自動的にこの「改良版」を手に入れることになる可能性が高いのです。
もし店頭で選べる機会があるならば、箱に記載されている「CFI-7121」という型番をそっと確認してみてください。どちらを選んでもゲーム体験は変わりませんが、より静かなモデルを手にすることができるかもしれません。

