Nintendo Switch Onlineのライブラリを眺めるたび、多くのレトロゲームファンが抱いていた一つの、しかし根本的な疑問。「ファミコンも、64も、ゲームキューブ(コントローラまで!)も揃えた。
…だが、あの2画面の傑作たちはどうするんだ?」と。『ニンテンドーDS』と『3DS』という、任天堂の携帯ゲーム史に燦然と輝く巨大な遺産。それらは、2画面という特殊な構造ゆえに、現行機への移植が絶望視されていました。
しかし、その「不可能」を「可能」に変えるピースが、ついに姿を現したのかもしれません。任天堂が新たに取得した特許。それは、Switch 2をあの懐かしいデュアルスクリーン機へと変貌させる、驚くべき周辺機器の存在を示唆しています。これは単なる空想や技術的なお遊びなのでしょうか?
いいえ、バーチャルボーイのアドオンまで復活させた今の任天堂の”本気度”を鑑みれば、これは「Switch 2世代」のレトロ戦略における、最後の、そして最大の切り札である可能性が極めて高いのです。


なぜ「2画面」でなければならなかったのか
まず我々が再認識すべきは、DSや3DSのゲーム体験が、いかに「2画面」という構造と不可分であったか、という事実です。上画面でメインのゲームプレイが展開し、下画面にはマップやインベントリ、あるいはタッチ操作専用のインターフェースが表示される。
このユニークなUIは、当時のゲームデザインに革命をもたらしました。単に画面を2つ並べた(例えばピクチャーインピクチャーのような)安易な移植では、あの頃の快適なプレイフィールは絶対に再現できません。
上画面の情報を一切遮ることなく、下画面でシームレスにアイテムを管理できたあの体験こそが、DS/3DSの核心だったのです。Switch Onlineへの追加が避けられない流れだとしても、このハードウェアの壁だけは、どうにも越えがたいものでした。

特許が示す「3つのプレイスタイル」という回答
今回、10月16日に公開された任天堂の新しい特許は、この根本的な課題に対する、極めて具体的な「回答」を提示しています。USPTO(米国特許商標庁)の文書によれば、このアクセサリはSwitch 2本体と接続することで、DSや3DSのゲーム体験を再現する複数のモードを提供するようです。
- デュアルスクリーンモード
まさしく我々が求めているもの。オリジナルのDS/3DSと同様に、2つの画面を上下(あるいは左右)に配置し、それぞれの画面に異なる役割を持たせるクラシックなスタイルです。 - シングルスクリーンモード(ピクチャーインピクチャー)
アクセサリを使用しない場合、あるいは別のプレイスタイルとして、メイン画面の隅にサブ画面を小さく表示する機能も想定されているようです。 - スイッチモード
ボタン一つでメイン画面とサブ画面の表示を瞬時に切り替えるモード。
この特許が示しているのは、任天堂が「どうすれば2画面のゲームを”快適に”遊ばせられるか」を、深く、そして真剣にシミュレーションしているという事実です。これは、単なる思いつきのアイデアではありません。

これは「絵に描いた餅」ではない。任天堂の”本気”を示す傍証
もちろん、賢明な読者であれば「特許など星の数ほど出願されており、製品化されないものの方が圧倒的に多い」と指摘するでしょう。その通りです。任天堂の過去の奇抜な特許を思えば、慎重になるのは当然です。
しかし、今回ばかりは状況が違います。我々は、Switch 2の発売と同時に、任天堂が何をしてきたかを思い出さなければなりません。彼らは、Switch Onlineの『ゲームキューブ』タイトルを補完するためだけに、近代化されたゲームキューブコントローラーを本気でリリースしました。
それだけではありません。商業的には大失敗に終わったはずの『バーチャルボーイ』のアドオンまでも蘇らせ、本格的な3D立体視ゲームプレイという、ある種の狂気とも言える体験を現代に復活させたのです。
この一連の流れは、任天堂が「レトロゲームファンのニーズに、ハードウェアの製造コストをかけてでも応える」という、明確な経営判断を下したことを示しています。ゲームキューブ、バーチャルボーイと来て、その次が「DS/3DS」であることは、あまりにも自然な流れではないでしょうか。このデュアルスクリーンアクセサリは、そのための最後のピースなのです。
Nintendo DS coming to NSO Confirmed! Patent Discovery of a lifetime! Breaking News! The following patent shows how Nintendo will manage the dual screen situation on Switch 2. You will have 3 options.
— Mike Odyssey (@MikeOdysseyYT) October 16, 2025
1. Dual Screen (Parent screen, child screen)
2. Single Screen Mode (Picture in… pic.twitter.com/MH1Ytv4Kfo
まとめ
任天堂が取得したデュアルスクリーンアクセサリの特許。これは、Switch 2というプラットフォームを、単なる最新ゲーム機から、「任天堂の全歴史を体験できるタイムマシン」へと進化させるための、極めて重要な一歩です。
DSと3DSには、いまだリメイクも移植もされず、当時のハードに封印されたままの膨大な「名作の海」が広がっています。この特許が現実のものとなった時、その封印は解かれ、我々は再び、あの熱狂的な携帯ゲームの時代へと旅立つことができるでしょう。
もはや「特許倒れ」と傍観することはできません。Switch Online + 拡張パックに『ニンテンドーDS』と『ニンテンドー3DS』のロゴが追加されるその日、我々はこのアクセサリを手にしている。その可能性は、限りなく高いと見て間違いないはずです。
