ドン・キホーテの店内を歩いていると、時々「これ、誰が買うんだろう?」と立ち止まってしまうような、奇妙な熱量を放つ商品に出会うことがあります。
私の足を止めさせたのは、情熱価格から発売された「まるででっかいスマホ」でした。その名の通り、27インチという圧倒的なサイズ感でありながら、中身は完全にスマホ。テレビのようでテレビではなく、タブレットのようでタブレットでもない。
「画面がデカければいいってもんじゃないだろう」
そう鼻で笑いそうになった自分を、数分後には「これ、もしかして今の私の生活に足りないものかも」と真剣に検討させてしまう力が、このデバイスにはありました。
今回は、税込8万7978円という、決して「安物」ではないこの新機軸デバイスが、私たちのデジタルライフをどう変えるのか、あるいは単なる「珍品」で終わるのか?
Source&Image:ハフポスト
記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓

テレビでもPCでもない「第3の選択肢」という衝撃
この商品の最大の特徴は、キャスター付きのスタンドに載った27インチの巨大な画面が、指先一つでスマホと同じように動くという点です。

これまで、大画面で動画を見たいと思えば「テレビ」か「PCモニター」を選ぶのが常識でした。しかし、テレビは地上波という制約があり、モニターは操作のためにマウスやキーボードが必要です。この「まるででっかいスマホ」は、そのどちらの不自由さも取っ払っています。
最近のSNSは縦動画が主流ですが、これを27インチの縦長画面で見ると、没入感が恐ろしいことになります。好きなアイドルのライブ配信や、料理のレシピ動画が等身大に近いサイズで迫ってくる感覚は、手元のスマホでは絶対に味わえない体験です。
キャスター付きという仕様が、実は一番の「神機能」かもしれません。
- キッチンでレシピを見ながら料理をする
- リビングでオンラインヨガのレッスンを受ける
- 寝室で寝落ちするまで動画を楽しむ これ一台で、家のあらゆる場所がエンタメ空間に変わります。固定されたテレビに縛られる生活から解放される感覚は、一度味わうと戻れなくなるかもしれません。
カメラとマイクが内蔵されているため、Zoomなどのオンライン会議もこれ一台で完結します。資料を大画面で確認しながら、タッチ操作で書き込みをする。PCを開くほどではないけれど、スマホでは小さすぎる……そんな「ちょうどいい」隙間を完璧に埋めてくれます。
「地上波が見られないテレビ」の成功が、この怪物を生んだ
そもそも、なぜドンキはこんな尖った商品を作ったのでしょうか。背景には、4年前に発売され、累計7万台を突破した「チューナーレススマートTV」の成功があります。
「テレビなのにテレビが見られないなんて」という当時の批判を、圧倒的な需要で黙らせたドンキ。開発担当の鷲津さんは、今回の巨大スマホをあえて「チャレンジ枠」と呼んでいます。
ユーザーの「スマホのアプリをそのまま大画面で使いたい」という、一見わがままな願いを形にするために、技術とコストの壁を突破して作り上げたのが、この27インチの怪物なのです。

「買って後悔しない?」という不安を解消するために
8万円を超える買い物ですから、「すぐに飽きて置物にならないか」という不安は当然あります。
正直に言いましょう。もしあなたが「ソファに座って、流れてくる地上波放送をぼーっと眺めたい」だけなら、この商品は向いていません。
しかし、「自分が見たいコンテンツを、自分の一番好きな場所で、スマホと同じ直感操作で楽しみたい」という能動的なデジタルライフを送っている人にとって、これは最強の武器になります。
「スマホを大きくしただけ」という単純すぎるアイデアが、これほどまでに生活の解像度を上げてくれるとは、私も実際に触れるまで予測できませんでした。

