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Honorがサウジアラビア市場でひっそりと、だが明確な意図を持ったAndroidタブレットを投入した。
Honor Pad X8b。最新技術のショーケースではない。むしろ、5年前のチップセットをあえて採用し、コストを極限まで抑えつつ、ユーザーが最も気にする「バッテリー持ち」に全振りした一点突破型の製品だ。この割り切りこそが、飽和した低価格タブレット市場に一石を投じる。
スペックシートを見て最初に目が留まるのは、SoCにはSnapdragon 680(OPPO Pad Airにも搭載)を採用している点だ。Qualcommがこのチップを世に送り出したのは2021年。2026年の現在から見れば、化石とは言わないまでも、完全に「枯れた技術」である。
XiaomiのRedmi Pad SEなど、数々のエントリー機を支えてきた名脇役だが、今あえてこれを採用するメーカーの狙いは明白。徹底したコストダウンと、省電力性能への信頼だ。とはいえ、680というのは驚きを通り越して狂気としか思えない。
当然、処理能力には限界がある。メモリも4GBと、現代のAndroid 16(MagicOS 10)をリッチに動かすには心許ない。重量級ゲームや激しいマルチタスクは最初から捨てている。その代わり、Honorがリソースを注ぎ込んだのがバッテリーだ。10,100mAhという大容量は、同クラスのタブレットと比較しても頭一つ抜けている。
7.25mmの薄型メタルボディに、11インチのFHD+ディスプレイ(1,920 x 1,200)。リフレッシュレートは90Hzを確保し、TÜV Rheinland認証のアイケア機能も備える。

つまり、この端末の正体は「終わらない動画視聴マシン」だ。SoCのパワー不足も、動画再生や電子書籍の閲覧といったシングルタスクならボトルネックになりにくい。省電力なSoCと巨大バッテリーの組み合わせは、充電器から解放される時間を最大化する。
価格設定もこの戦略を裏付ける。割引価格で約173ドル(約2万6000円前後)。2万円台半ばで、質感の高いメタルボディと、数日は充電不要なスタミナが手に入るなら、処理速度に目をつぶるユーザーは確実に存在する。
カメラは前後ともに5MP。記録用やビデオ通話用と割り切ったスペックだが、クアッドスピーカーを搭載している点は評価したい。エンタメ消費において、画質以上に音質は没入感を左右する重要な要素だからだ。
日本を含むグローバル展開のアナウンスはまだない。だが、ハイエンド化が進む一方で、こうした「用途特化型」の廉価モデルへの需要は根強い。Snapdragon 680という古参兵を使い倒し、バッテリーライフという実利を取るHonorの実用主義。もし日本市場に投入されれば、サブ機を探すユーザーにとって、極めて合理的な選択肢となり得る。
Source:Honor

