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Appleが今秋の投入を計画している「iPhone Fold」に加え、全く異なる形状の「iPhone Flip」をテストしているという情報が飛び込んできた。これまで噂の域を出なかった縦折り型のクラムシェルモデルが、Apple社内でプロトタイプ段階に進んでいる可能性が高い。
これは単なるバリエーションの追加ではなく、停滞気味なスマートフォン市場におけるAppleの「全方位戦略」への転換を示唆している。
まずは現状の整理から始めたい。業界のコンセンサスとして、Appleは2026年9月、iPhone 18 Proシリーズと共に初の折りたたみ端末「iPhone Fold(仮称)」を発表する準備を進めている。
これはGalaxy Z Foldと同様のブック型で、開けば7.8インチのタブレット級大画面、閉じれば5.5インチのスマートフォンとして機能するハイエンド機だ。2017年のiPhone X以来となる、ハードウェアデザインの抜本的な刷新と言える。
しかし、今回浮上したのはその「次」の矢だ。BloombergのMark Gurman氏や、サプライチェーン情報に詳しいFixed Focus Digitalからのリークによると、AppleはGalaxy Z FlipやMotorola Razrのような、正方形に近いコンパクトな形状へ折りたためる「iPhone Flip」の試作機テストを行っているという。

なぜ今、縦折りなのか。ブック型は「開けばタブレット」という生産性が売りだが、縦折り型は「畳めばコンパクト」という携帯性が最大の武器だ。巨大化の一途をたどる近年のスマホに疲弊した層や、ファッション性を重視する層に対し、Samsungはこの縦折りモデルで一定の成功を収めている。Appleがこの市場を看過できないと判断した証拠だろう。
もちろん、テスト中だからといって発売が確約されたわけではない。Appleの品質基準は極めて厳格だ。ヒンジの耐久性や画面の折り目(クリース)が彼らの基準に達しなければ、プロジェクトごと消滅することも十分にあり得る。
現実的なタイムラインを見積もると、今秋登場するのはあくまでブック型の「Fold」のみ。今回リークされた縦折りの「Flip」は、どんなに早くても2027年秋、開発の慎重さを考慮すれば2028年以降になる公算が大きい。
Appleは常に「最初の参入者」ではなく「最高の参入者」であることを是としてきた。先行するAndroid勢が折りたたみスマホの課題を洗い出した今、満を持して投入されるApple製フォルダブルは、OSレベルでの最適化も含めて完成度の高いものになるはずだ。
まずは今秋のブック型で市場の反応を試し、その数年後に普及帯としての縦折り型を投入する。そんな二段構えのシナリオが現実味を帯びてきた。

