「どうせ次のiPhoneは20万円コースでしょ…」
「Galaxy Ultraも、もう高嶺の花すぎて…」
ここ数年、スマートフォンのフラッグシップモデルといえば、高性能化と比例するように価格も青天井。私たちは、最新技術を手に入れるためにはその「高額な入場料」を支払うしかないのだと、半ば諦めかけていなかっただろうか。
しかし、その常識を根底から覆す、あまりにも”ヤバい”スマートフォンが、ついにグローバル市場に放たれた。
その名は「Nubia Z80 Ultra」。
価格は、649ドルから。 日本円にして約10万円(※執筆時点のレート換算)。
この価格を見て「ああ、どうせ色々削ぎ落としたミドルレンジ機でしょ」と思ったあなた。その予測は、見事に裏切られることになる。
これは、最新のSnapdragon 8 Elite Gen 5を積み、7,200mAhという異次元のバッテリーを搭載し、さらには「35mm」という玄人好みのメインカメラレンズを採用した、正真正銘の”バケモノ”フラッグシップだ。
Source:Nubia
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「妥協」という言葉が存在しないスペックシート

まず、Nubia Z80 Ultraが「おもちゃ」ではなく、iPhone 17 Pro MaxやGalaxy S25 Ultraといった巨人たちと本気で殴り合うために生まれてきたことを、そのスペックで証明しよう。
- チップセット: Qualcomm Snapdragon 8 Elite Gen 5
- バッテリー: 7,200mAh
- 充電: 90W(有線)、80W(ワイヤレス)
…ちょっと待ってほしい。 チップセットは、他社がこれからこぞって搭載するであろう、文句なしの最新最強チップだ。
そして、問題はバッテリーと充電だ。 7,200mAh。もはや「スマホの内蔵バッテリー」というより「小型モバイルバッテリー」の領域である。iPhone 17 Pro MaxやGalaxy S25 Ultraが、この容量に追いつくことは(少なくとも現時点の噂では)絶望的だろう。
さらに驚くべきは、これが「グローバル版」のスペックであるという事実だ。 ZTEファミリー(Nubiaの親会社)は、先日のRedMagic 11 Proと同様、グローバル展開に際してバッテリー容量を犠牲にする(劣化させる)という、我々が散々味わってきた”悪しき慣習”と決別した。
充電速度もおかしい。90Wの有線はともかく、80Wの「ワイヤレス」充電に対応している。有線ですらその速度に満たない高価なフラッグシップ機が市場に溢れる中で、これは明らかに異常事態だ。
なぜメインカメラが「35mm」なのか?

Nubia Z80 Ultraの狂気、いや、「哲学」はカメラにこそ表れている。
多くのスマートフォンが広角(24mm前後)をメインカメラに据える中、Z80 Ultraはあえて**「35mm」**のレンズをメインに採用した。
35mmというのは、人間の視野に近いとされ、スナップ写真やポートレートにおいて、被写体を最も自然に、そしてドラマチックに切り取れる「魔法の画角」と呼ばれるものだ。これは、「スマホで“作品”を撮りたい」と願う層に向けた、Nubiaからの明確なメッセージである。
もちろん、ディスプレイも抜かりない。 6.85インチのフラットAMOLED、144Hzのリフレッシュレート、ピーク輝度2,000nits。そして何より、パンチホールもダイナミックアイランドも存在しない。16MPの前面カメラは、画面下に完全に隠されているのだ。
「全画面」という言葉が、これほど似合うスマホも珍しい。
649ドルという「価格設定」が意味するもの

これだけのスペックを詰め込んで、価格は649ドルからスタートする。
- 12 GB / 256 GB: $649 (£579 / €649)
- 16 GB / 512 GB: $799 (£709 / €799)
- 16 GB / 1 TB: $899 (£799 / €899)
最上位の1TBモデルですら899ドル。ライバル機(Galaxy S25 Ultraなど)の「ベースモデル」の価格(950ドル程度と予想される)よりも安い可能性があるのだ。
これはもはや「コスパが良い」というレベルではない。「価格破壊」だ。
Nubiaは、アーリーバードローンチキャンペーンとして、12月2日まで「Z80USAVE30」のコードで30ドルの割引を実施。さらに11月18日までの予約者には充電器と保護ケースが無料で同梱されるという。徹底的にライバルを潰しにかかっている。
(唯一の懸念)で、日本で買えるのか?
ここまで読んで興奮した方に、一つだけ冷静になってもらう情報がある。 そう、現時点では日本国内での正式販売は発表されていない。
我々がこの「市場破壊者」を手に入れるには、Nubiaのグローバルサイトなどから、いわゆる「個人輸入」という手段を取る必要がありそうだ。技適(技術基準適合証明)の問題も絡んでくるため、その点は自己責任の世界となる。
しかし、これだけの製品がグローバル展開されるという事実。日本市場が無視され続けるとは、到底思えないのだが…。

