テクノロジー界の巨人、イーロン・マスク氏は、その多岐にわたる活動で常に世間の注目を集めている。電気自動車メーカーTeslaのCEO、宇宙開発企業SpaceXのCEO、そしてソーシャルメディアプラットフォームXのオーナーとして、世界経済やテクノロジーの未来を左右する存在であることは間違いない。しかし、彼の影響力はビジネスやテクノロジーの領域に留まらず、時として、思いもよらぬ形で波紋を広げる。今回、その舞台となったのはビデオゲームの世界、それもハードコアなアクションRPGとして知られる『Path of Exile 2』だった。
2025年1月7日、マスク氏は自身のXアカウントで『Path of Exile 2』のプレイ配信を実施。90分以上にわたる配信の中で、彼はレベル95という驚異的なレベルのキャラクターを操り、高度な装備を駆使してゲームを進めていく様子を世界に見せつけた。一見すれば、ベテランゲーマーの風格を漂わせるプレイであったが、その実態は多くの視聴者を困惑させるものだった。
配信開始直後から、チャット欄には視聴者からの疑問やツッコミが殺到した。レベル95という高レベルは、膨大なプレイ時間を費やしたプレイヤーの証であり、同時にゲームシステムへの深い理解と高度な戦略性を示唆するものだ。しかし、マスク氏のプレイは、そのレベルに相応しい熟練度からは程遠いものだった。
彼は基本的なゲームメカニズムに戸惑い、アイテムの効果や使用方法を理解していない様子を見せた。装備の要件を満たしていないにもかかわらずアイテムを装備しようとしたり、アクセスできないポータルに繰り返し入ろうとしたりするなど、初級者でも犯さないようなミスを連発。さらに、キャラクターの生命線とも言えるマナフラスコをほとんど使用せず、結果的に苦戦を強いられる場面も多々見られた。
視聴者の間では、マスク氏が本当に自身でこのキャラクターを育成したのかという疑問が急速に広がった。レベル95までキャラクターを育て上げるには、数百時間、場合によっては数千時間ものプレイ時間が必要となる。多忙を極めるマスク氏に、そのような時間的余裕があるとは考えにくい。
疑惑の火に油を注いだのは、マスク氏が使用していた装備品の数々だった。配信で彼が身に着けていたアイテムの中には、極めて入手困難なレアアイテムが含まれていた。これらのアイテムは、長年のプレイ経験を持つ熟練プレイヤーでさえ、簡単には手に入れることができない代物だ。マスク氏が短期間でこれらを揃えることは、常識的に考えて不可能に近い。
Redditなどのオンラインフォーラムでは、マスク氏のプレイを見たユーザーから様々な憶測が飛び交った。「誰かにキャラクターを育成してもらったのではないか」「チートツールを使用したのではないか」「ゲーム開発者から特別なアイテムを提供してもらったのではないか」など、疑惑は尽きなかった。
中には、マスク氏が過去に他のゲームでも同様の疑惑を持たれたことを指摘する声もあった。2024年11月、マスク氏は『ディアブロ4』で世界記録を更新したと発表したが、後にバグを利用した不正プレイが疑われ、物議を醸した。今回の『Path of Exile 2』配信は、過去の疑惑を想起させ、マスク氏のゲーマースキルに対する不信感をさらに増幅させる結果となった。
ゲームコミュニティの一部では、マスク氏がゲームプレイ自体に興味があるのではなく、ゲームを利用してメディアの注目を集めようとしているのではないかという見方が広まっている。実際、マスク氏は過去にも、自身のソーシャルメディアアカウントでゲームに関する話題を取り上げ、大きな反響を呼んできた。今回の配信も、その一環として捉えることができるだろう。
しかし、もし仮にマスク氏が意図的にゲームスキルを偽装し、視聴者を欺いていたとすれば、それはゲーマーコミュニティに対する裏切り行為と言えるだろう。ゲームは、プレイヤーの努力とスキルが公正に評価されるべき場である。もし、地位や権力によってゲームの結果が左右されるようなことがあれば、ゲームの持つ本質的な価値が損なわれてしまう。
Path of Exile 2とは
Path of Exile 2 は、Grinding Gear Games によって開発されている無料プレイのアクションRPGです。オリジナルの Path of Exile の続編として、同じゲームクライアント上で動作しますが、新しいキャンペーン、アセンダンシークラス、スキルシステム、エンジン改良などを提供します。
主な特徴
- 新しいキャンペーン: 前作の20年後を舞台にした7章構成の全く新しいストーリーキャンペーンが展開されます。前作のキャンペーンも引き続きプレイ可能です。両方のキャンペーンは同じアトラスエンドゲームへと繋がります。
- 6つの新クラスを含む19のAscendancyクラス: 前作の7つのクラスに加え、それぞれが3つのAscendancyを持つ6つの新しいクラスが登場。合計19のAscendancyから選択できます。各Ascendancyは独自のスキルツリーとプレイスタイルを提供します。
- 改良されたスキルシステム: スキルジェムとサポートジェムのシステムはそのままに、より多くの組み合わせとビルドの多様性を提供するために再設計されています。新しいスキルジェムも多数追加されます。
- 新しい武器と装備: 新しい武器タイプ、防具、アクセサリーが追加され、キャラクターのカスタマイズ性がさらに向上します。
- 改善されたゲームエンジン: ビジュアル、アニメーション、パフォーマンスが向上し、より没入感のあるゲーム体験を提供します。物理ベースレンダリング、新しいライティングシステム、高解像度テクスチャなどが導入されています。
- シェイプシフティング: 一部のスキルやアイテムを使用することで、一時的にモンスターに変身し、その能力を使用することができます。
- 拡張されたエンドゲーム: アトラスエンドゲームはさらに拡張され、新しいマップ、ボス、チャレンジが追加されます。
無料プレイモデル
Path of Exile 2 も前作と同様に基本プレイ無料です。課金要素は主にコスメティックアイテムや保管庫の拡張などであり、ゲームプレイに直接影響を与える要素はありません。
但し、現在はベータ板であり早期アクセスという形で、有料ソフトとなっています。
今後の展望
現在も開発中で、正式なリリース日は未定です。ベータテストは2024年6月7日から開始されました。そして頻繁にアプデというナーフが続き、最近は少し落ち着いた感じもしますが、いつ自分の最強ビルドが最弱になるかビクビクしながらプレイしている、PoE2プレイヤーで賑わっています。
まとめ
今回の騒動は、単なるゲーム配信の一幕として片付けるべきではない。それは、現代社会における情報操作やイメージ戦略の問題を浮き彫りにするものであり、私たちに重要な問いを投げかけている。私たちは、メディアを通して伝えられる情報に、どれほど信憑性があると言えるのだろうか。そして、権力を持つ者の言動を、どのように批判的に検証していくべきなのだろうか。
イーロン・マスクという一人の人物を通して、私たちは現代社会の複雑な問題と向き合う必要性を改めて認識させられる。彼の行動は、常に賛否両論を巻き起こし、私たちに思考の糧を与えてくれる。そして、今回の『Path of Exile 2』配信もまた、私たちに多くのことを考えさせる、重要な出来事となったと言えるだろう。
って、重く書いてみましたけど、、、前回に引き続き、今回も育成代行を見せつけるとか、もう狙ってるとしか思えないw