記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓
ソニーが下したBluepoint Gamesの実質的な解体と、ファンメイド作品に対する容赦ない開発中止命令。この二つの出来事が立て続けに起こったことで、世界中のゲーマーが待ち望んできた『Bloodborne』公式リメイクの可能性は事実上潰えた。今、ゲーム業界で最も苛烈なIP管理の現実が突きつけられている。
PS5向け『デモンズソウル』リメイクで圧倒的な実績を残したBluepoint Games。彼らこそが、あの狂気に満ちたゴシックアクションRPGを現代の技術で蘇らせる最有力候補だった。
だが、スタジオ閉鎖の決定によりその希望は完全に断たれた。
さらにファンを絶望させたのが、派生プロジェクトへの徹底した弾圧。開発者のMaxime Foulquier氏が手掛けていた見下ろし型視点のファンメイド作品『Bloodborne: Top Down Arena』に対し、ソニーは商標権侵害の警告書を送付。
同氏は以前にも独自のリメイク開発を断念させられており、今回はついに沈黙を破ってソニーからの書簡を公開した。コミュニティの底に流れる憤りは、かつてないほど高まっている。
With the closure of Bluepoint Studio, now feels like the right time to share something.
— Maxime Foulquier (@MaximFoulquier) February 19, 2026
Sony sent me a cease and desist letter regarding my second Bloodborne remake project that I posted about in November 2024.
I was incredibly excited about this project and worked on it a lot… pic.twitter.com/E1U12fxaWK
公式のPC版は存在せず、PS4の30fpsという旧世代の足枷に縛られたままの傑作。プレイヤーのやり場のない熱量は今、高性能PCと「shadPS4」エミュレーターを用いた非公式な高解像度・60fps化へと向かうしかない状態だ。
ここで、情報とユーザーの熱量の相関関係を絶えず観測し続けてきた立場から一つの指摘をしておきたい。企業が守ろうとする「IPの純度」と、ファンが求める「体験の拡張」。この相反するベクトルは、現代のデジタルエンターテインメントが抱える致命的なバグだ。
公式が沈黙を貫き、新たな体験を提供できない状況下でファンメイドの熱を法的に潰す行為は、単なる権利保護の枠を超え、コミュニティの創造的な死を招く。熱気は行き場を失い、エミュレーターというグレーゾーンの地下水脈へと流れ込むのは自明の理。法務的な勝利と引き換えに、企業は自らのIPを支える最も情熱的なアンバサダーたちを切り捨てている。
ライブサービスゲームへと大きく舵を切るソニーの戦略転換の影で、シングルプレイの傑作たちが過去の遺物として封印されようとしている。生みの親であるフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏も自社の新作開発に忙殺されており、ヤーナムの街が公式のハードウェアで再構築される日は極めて遠い。
過度な知財の囲い込みが、結果としてIPそのものの寿命を縮めていないか。プラットフォームホルダーとしての真の器量が、今まさに問われている。

