GameMTの怪作Vita風機「Pocket Super Knob 5000」は右スティックに謎ダイヤルを搭載

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名前だけで二度見してしまう。「Pocket Super Knob 5000」。直訳すればポケット・スーパー・ノブ・5000。これはジョークグッズではない。中華ゲーム機メーカーGameMTが4月に投入を予定している、正真正銘の新型ハンドヘルドデバイスだ。

かつてのソニーの名機「PS Vita」の美しいフォルムを模倣しながら、あろうことか右アナログスティックを排除し、代わりに巨大な「パフォーマンス調整ダイヤル」を埋め込むという、狂気じみた仕様で界隈をざわつかせている。

GameMTというメーカーは、昨年末に「E3 Vigor」を、その直前には本機の原型とも言える「EX5」をリリースするなど、多作かつ迷走気味な展開を見せているブランドだ。今回のPSK 5000は、市場から忽然と姿を消したEX5の金型を流用しつつ、中身をわずかにアップデートしたマイナーチェンジモデルと見ていい。

肝心のスペックだが、SoCにはMediaTekの「Helio G85」を採用した。前作EX5のHelio G81からは順当な進化だが、G85自体が12nmプロセスで製造される一昔前のチップセットである現実は変わらない。構成はCortex-A75×2とCortex-A55×6、GPUはMali-G52 MP2。同等のチップを積む「Redmi Pad SE 8.7」の実機挙動を鑑みるに、3Dゲームで60fpsを維持するのは至難の業だ。

メーカー側は「PSPのエミュレーションを1080pで動作可能」と謳うかもしれないが、額面通りに受け取るのは危険だ。特に重量級のタイトルでは、フレームレートの低下は避けられない。

そこで登場するのが、この機種最大の特徴であり最大の謎、右側の「ノブ」である。通常ならカメラ操作などに不可欠な右スティックがあるべき場所に、パフォーマンスモードを切り替える物理ダイヤルが鎮座している。ソフト側の設定で済む機能を、なぜ貴重な操作系を潰してまで物理実装したのか。この設計思想は合理的とは言い難い。

操作系については、唯一残された左スティックにはドリフトしにくいホール効果センサーを採用し、十字キーもVitaの操作感を再現しようと試みている点は評価できる。しかし、右スティック不在という事実は、現代の3Dアクションやシューターを遊ぶ上で致命的な欠陥となりうる。

4月の発売に向け、価格はまだ伏せられている。Anbernicなどの競合がひしめく中、Helio G85搭載機にどれだけの価値を見出せるか。実用性よりも「変なギミック」を愛するガジェットコレクター向けの、愛すべき珍品枠に収まる公算が高い。

もし激安価格で登場すれば、エミュレーター専用機としての活路はあるかもしれないが、その巨大なダイヤルを回す機会がどれほどあるかは未知数だ。

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この記事を書いた人

私の始まりはプログラマーとしてシステム開発に携わり、ガジェットの内部構造や技術的な課題を深く理解してきました。その後は営業マンとして、技術が市場でどのように受け入れられ、どのようなニーズがあるのかを現場で学んできました。
この「技術的な解像度の高さ」と「市場における現実的な価値」という二つの視点が、このブログで情報をお届けする上での私の基盤となっています。

ちなみに私のガジェット愛の原点は、初代iPhoneよりもさらに昔、いにしえのPDA『Palm』に遡ります。あの頃の端末は「できないこと」だらけでした。しかし、限られた環境の中で「どうすれば目的を達成できるか」と知恵を絞り、工夫を凝らす作業こそが、私にとって最高の楽しみでした。

長らくは初代iPhoneからの筋金入りApple信者でしたが、進化の速度が凄まじい昨今、フラッグシップの安定感を持つApple製品に加え、多種多様な機能を提供するAndroid端末を深く使い込む機会が増えています。

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