記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓
ハイエンドタブレットの頂点に君臨するiPad Proだが、そのハードウェア進化は当面の間、足踏み状態が続くことになりそうだ。デザインの刷新や新たなフォームファクタを待ち望んでいたユーザーにとって、今回のリーク情報は冷や水を浴びせるものとなる。結論から言えば、今後数年間、iPad Proの「見た目」は変わらない公算が高い。
著名なリーカーであるInstant Digital氏が共有した情報は、Appleが近い将来、iPad Proの大幅な再設計を行う計画がないことを示唆している。特に指摘されているのがベゼル幅だ。SamsungのGalaxy Tab SシリーズをはじめとするAndroid陣営が、極限までベゼルを削ぎ落とし没入感を高めているのに対し、iPad Proは現行のデザインを維持するという。

これは単なるデザインの問題ではない。ディスプレイ技術において、AppleはタンデムOLED(有機EL)の採用で画質面での優位性を確保したが、物理的な筐体設計における先進性という点では、競合に見劣りし始めているのが実情だ。800ドルを超える価格帯の製品として、数年前のデザイン言語を使い回すことは、ブランドの求心力低下を招きかねない。
もちろん、内部スペックは順当に強化される。現行のM5チップに続き、年内にはM6が登場し、次期iPad Proへの搭載は確実視されている。しかし、処理能力の向上はもはや一般ユーザーの体感レベルを超えて久しい。チップの刷新だけで「新しい体験」を売り込むことには限界がきている。かつてのPC市場が陥った「スペック競争の形骸化」が、タブレット市場でも起きつつあると言えるだろう。
逆に言えば、すでにM4やM5搭載のiPad Proを所有しているユーザーにとっては、愛機がすぐに「型落ち」に見える心配がないという点で朗報だ。製品寿命が長く保たれることは、リセールバリューの維持にもつながる。
Appleが守りに入ったこの数年は、追走するAndroidタブレット勢にとって、かつてないシェア拡大の好機となるかもしれない。ハードウェアの革新が停滞する中、Appleが次にどこで勝負を仕掛けてくるのか。OS側の抜本的な見直しがない限り、iPad Proはしばらくの間、静かな冬の時代を迎えることになりそうだ。

