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あの容赦なき「スパルタの亡霊」が、現行機のスペックで蘇る。PlayStationとサンタモニカスタジオがついに重い口を開き、オリジナルの「ゴッド・オブ・ウォー」三部作のリメイク開発を正式に発表した。単なる解像度向上版の「リマスター」ではなく、根本から作り直す「リメイク」であるという点に、往年のファンならずとも興奮を隠せないはずだ。
近年の「ゴッド・オブ・ウォー」(2018年)および「ラグナロク」(2022年)は、北欧神話を舞台に父と子の絆を描き、Metacriticで94点という驚異的なスコアを叩き出した。疑いようのない傑作だ。
しかし、あまりに洗練されたドラマとシステムに対し、古くからのファンの一部が「コレジャナイ」感を抱いていたのも事実だ。かつての固定カメラ視点によるダイナミックなアクション、そして何より、理不尽な神々を暴力でねじ伏せる若きクレイトスの狂気が鳴りを潜めていたからだ。
今回の発表は、そうしたファンの渇望に対するソニーからの満額回答だ。PlayStation Blogでの発表によれば、プロジェクトは「リメイク」と明記されている。つまり、PS2やPS3時代のコードを流用してテクスチャを張り替えるレベルの話ではない。
Unreal Engine 5などの最新技術を用い、現代のAAAタイトルとしてゼロから再構築される可能性が高い。バイオハザードシリーズのリメイクが成功を収めているように、現代の操作感とグラフィックで、あのギリシャ神話の惨劇を追体験できることになる。

開発はまだ初期段階にあるが、特筆すべきはオリジナル版でクレイトスの声を担当したTCカーソン氏によるティーザーの存在だ。北欧編ではクリストファー・ジャッジ氏に交代していたが、ギリシャ編のリメイクにあたり、オリジナルの「声」を呼び戻した点は非常に意義深い。開発チームがオリジナル版のトーンや魂を尊重している何よりの証拠だ。
市場的な観点で見れば、ソニーにとってこれほど強力なカードはない。PS5世代における完全新作の開発サイクルが長期化する中、過去の超強力IPを現代技術で蘇らせる戦略は、商業的なリスクを抑えつつ、コアゲーマーのエンゲージメントを維持する最適解だ。
また、PCへの移植も視野に入れていることは想像に難くない。かつてハードウェアの制約でプレイできなかった層を取り込む好機となる。
発売まではまだ時間を要するだろうが、北欧編から入った新規ファンが、クレイトスがなぜあのような苦悩を抱えていたのか、その「原罪」を最高品質で目撃する日はそう遠くない。老成した父としてのクレイトスも魅力的だが、私たちが心のどこかで待ち望んでいたのは、やはり鎖鎌を振り回し、神々に喧嘩を売る無鉄砲なスパルタの戦士だったのかもしれない。

