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待望の機能が、ようやく手のひらの上にもやってきた。GoogleはAndroid版Chromeに対し、デスクトップ版ではお馴染みの「タブの固定(ピン留め)」機能の本格展開を開始した。
大量に開いたタブの海から重要なページを探し出す手間や、指先のちょっとした狂いで必要なページを消してしまう事故。これらが過去のものになる。これは単なる機能追加ではなく、スマホでのブラウジングを「閲覧」から「作業」へと引き上げる重要なアップデートだ。
最新のChrome(バージョン144)に実装されたこの機能の挙動は、非常に直感的かつ実用的である。
タブ一覧画面(グリッド表示)で任意のカードを長押しし、「タブをピン留め」を選ぶ。たったこれだけで、そのページはグリッドの最上部、特等席へと移動する。
特筆すべきは、その防御力だ。固定されたタブからは「×(閉じる)」ボタンが消滅し、ピンのアイコンに置き換わる。さらに、スワイプ操作による削除も無効化される。タッチインターフェースゆえに頻発していた「誤って閉じてしまう」ミスを、システム側が物理的にブロックしてくれる仕様は、多くのユーザーが待ち望んでいたものだ。
UIの作り込みにも、Androidの最新デザイン言語「Material 3 Expressive」の思想が色濃く反映されている。

タブグリッドを下にスクロールして過去のタブを遡っても、ピン留めされたタブは画面上部にカルーセル(横並びの帯)として常駐し続ける。ファビコンとページ名がコンパクトに表示され、タップすれば即座にそのページへ飛べる。どれだけネットサーフィンに没頭しても、メールや進行管理ツールといった「母艦」へ一瞬で戻れる安心感は大きい。
これまでモバイル版ブラウザのタブ管理といえば、グループ化機能などはあったものの、デスクトップ版ほどの即応性はなかった。今回のアップデートにより、Android版ChromeはPC環境のワークフローに一歩近づいたことになる。
仕事の連絡、乗り換え案内、あるいは後で読む長文記事。絶対に消したくない、すぐに呼び出したいページを「固定」できる安心感は、スマホでの生産性を確実に底上げする。
この機能が標準化されることで、モバイルブラウザにおけるタブ管理の作法は変わるはずだ。次はiOS版への展開や、他社ブラウザがどう追随するかが焦点となるが、まずはAndroidユーザーが享受できるこの快適性を素直に歓迎したい。

