1959年に登場した超小型カメラのデザインを受け継ぎつつ、現代のデジタル技術を詰め込んだ「ヤシカY16」の予約受付がスタートした。スマートフォンのカメラが極限まで進化した今、あえて光学ファインダーとキセノンフラッシュを備えたプラスチックボディを世に問う意味。それは、完璧すぎるデジタル写真への痛快なアンチテーゼに他ならない。
本体サイズは91×45×29mm、重量はわずか93g。手にすっぽりと収まるこの小さな筐体に、12メガピクセルセンサーと35mm換算27mm・F12のレンズを搭載。背面には1.45インチの極小ディスプレイと光学ファインダーを配置している。前面で存在感を放つキセノンフラッシュは3段階の出力調整に対応し、アナログ時代のカメラスタイルを強く意識した造りだ。

現在のヤシカブランドを保有する企業は、かつての老舗カメラメーカーとは別物。だからこそ、このY16はノスタルジーに頼りきった単なる復刻版ではない。公開されたサンプル画像からは、30ドル台の廉価なトイカメラを上回る描写力が確認できる。とはいえ、最新スマホには到底及ばない「明らかなトイカメラ」としての立ち位置。動画撮影もこなすが、そこに圧倒的な高画質を求めるのは野暮というもの。
カラーバリエーションはグリーン、オレンジ、レッド、ベビーブルー、ベビーピンク、バターイエロー、ブラックの全7色。価格は115ドル(送料・輸入費用別)で11月下旬からの出荷を予定しており、8GBのmicroSDカードも同梱される。
この絶妙なチープさと不便さこそが本機の最大の武器。計算し尽くされたコンピュテーショナルフォトでは味わえない、偶然性の高い荒削りな描写。それを光学ファインダー越しに狙う体験そのものに価値を見出せるかが分水嶺となる。デジタル全盛の現代において、ポケットに忍ばせた93gのオモチャは、退屈な日常風景を切り取るための新しいスパイスとして十分に機能する。
Source:Yashica


