YouTubeが「通知の強制停止」を開始。背景にあるのは、全通知オフを招く「通知疲れ」への恐怖。登録者数という“数字”が意味をなさなくなる時代…

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「すべて受け取る」設定にしたはずの通知が来ない。これはバグでも不具合でもなく、YouTubeによる意図的な仕様変更である可能性が高い。

Googleは現在、チャンネル登録をしてベルマークをオンにしているユーザーであっても、長期間そのチャンネルに関与していない場合、プッシュ通知の送信を自動的に停止するテストを行っている。この措置は、単なる機能変更の枠を超え、プラットフォームとユーザーの「通知」を巡る関係性が限界を迎えていることを示唆している。

今回の変更において対象となるのは、登録後に動画視聴や高評価、コメントなどのアクションが途絶えた「休眠状態」のユーザーだ。従来、ベルマークの「すべて」設定は、クリエイターと視聴者の間の確約のようなものであったが、YouTube側がここに割って入り、通知の蛇口を勝手に締める形となる。

背景にあるのは、深刻な「通知疲れ」だ。現代のスマートフォンユーザーは、SNSやニュースアプリから絶え間なく浴びせられる通知に疲弊している。YouTubeにとって最悪のシナリオは、個別のチャンネル登録を解除されることではない。

ユーザーがOSの設定画面で「YouTubeアプリ自体の通知」を完全にオフにしてしまうことだ。一度システムレベルで遮断されれば、プラットフォームは二度とユーザーにリーチできなくなる。

これを防ぐための苦肉の策が、今回の「間引き」である。反応のない通知を送り続けてアプリごとミュートされるリスクを冒すより、アクティブなチャンネルの通知だけを確実に届ける方を選んだわけだ。

クリエイター視点では、自身の動画の初速を支える「通知」が減ることに不安を覚えるかもしれない。しかし、冷静に見ればメリットもある。無視され続ける通知は、クリック率(CTR)を下げる要因にしかならないからだ。

なお、今回のテストは頻繁に投稿するチャンネルが主な対象で、更新頻度の低いチャンネルへの影響は限定的とされる。また、プッシュ通知が止まるだけで、アプリ内の「登録チャンネル」タブには通常通り動画が表示される。

このテストは2025年3月から1年近くにわたり水面下で続けられてきた。長期間の検証を経ていることから、本格導入される可能性は極めて高い。

「登録者数」という数字が、実質的な影響力を持たない単なる飾りになりつつある昨今。YouTubeは今回の変更で、登録者を「数」ではなく「熱量」で再定義しようとしている。クリエイターは今後、単に登録ボタンを押させるだけでなく、常に視聴者を振り向かせ続ける「継続的なエンゲージメント」が、これまで以上にシビアに求められることになるだろう。

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この記事を書いた人

私の始まりはプログラマーとしてシステム開発に携わり、ガジェットの内部構造や技術的な課題を深く理解してきました。その後は営業マンとして、技術が市場でどのように受け入れられ、どのようなニーズがあるのかを現場で学んできました。
この「技術的な解像度の高さ」と「市場における現実的な価値」という二つの視点が、このブログで情報をお届けする上での私の基盤となっています。

ちなみに私のガジェット愛の原点は、初代iPhoneよりもさらに昔、いにしえのPDA『Palm』に遡ります。あの頃の端末は「できないこと」だらけでした。しかし、限られた環境の中で「どうすれば目的を達成できるか」と知恵を絞り、工夫を凝らす作業こそが、私にとって最高の楽しみでした。

長らくは初代iPhoneからの筋金入りApple信者でしたが、進化の速度が凄まじい昨今、フラッグシップの安定感を持つApple製品に加え、多種多様な機能を提供するAndroid端末を深く使い込む機会が増えています。

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