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発売から約1年が経過したソニーのフラッグシップ「WH-1000XM6」に、突如として新色「サンドピンク」が追加された。
単なるカラーバリエーションの拡充と侮るなかれ。完全ワイヤレスイヤホンの新型「WF-1000XM6」のグローバル発表に合わせたこのタイミングでの投入は、機能進化が飽和しつつあるオーディオ市場において、ソニーがいかにして製品の鮮度を維持し、指名買いを誘おうとしているかの明確な意思表示だ。
2025年5月のデビュー当時、WH-1000XM6はブラック、ミッドナイトブルー、プラチナシルバーの3色で展開された。これらは前作XM5の主力を踏襲したものだったが、XM5のライフサイクル後半で人気を博した「スモーキーピンク」に相当するカラーが欠けていた。市場にはその不在を惜しむ声も少なからずあったが、ソニーはあえて時間を置き、このタイミングでカードを切ってきた。

今回採用された「サンドピンク」は、名称こそ似ているものの、XM5のスモーキーピンクとは似て非なるものだ。色味はより深く、彩度が増している。かといって、エントリーモデルであるWH-CH520やCH720Nに見られるような、若年層向けの純粋な「ピンク」ではない。
「サンド(砂)」という名を冠する通り、少し土っぽいニュアンスを含ませることで、大人が街中で装着してもファッションから浮かない絶妙なバランスに着地させている。
スペックに変更はない。価格も米国で399.99ドル、欧州で369ユーロと、発売当初の定価を維持している。当然、日本でも多分変わらないと予想される。
これは、ハードウェアとしての完成度が既に極致に達しており、これ以上の機能追加だけでは差別化が難しいという現状の裏返しでもある。だからこそ、ハードの魅力ではなく「所有欲」や「ファッション性」という情緒的な価値で勝負をかけてきたわけだ。
2月12日から世界同時オーダーが開始されたこの新色は、同日発表のイヤホン「WF-1000XM6」の話題性と相乗効果を生むだろう。

