中国EV大手XPengのロボット「Iron」がお披露目会でズッコケる…

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完全な自律歩行は、まだこれほどまでに難しいのか。中国のEV(電気自動車)メーカー、XPeng(小鵬汽車)が披露したヒューマノイドロボット「Iron」のデビュー戦は、苦いものとなった。華々しいステージでの転倒。このアクシデントは、加熱するロボット開発競争における「期待」と「物理的な現実」のギャップを、図らずも世界に見せつける結果となった。

「Iron」の登場シーンは、当初こそ順調に見えた。人間のようなプロポーションを持つ機体が、やや硬さはあるものの、確かな足取りでステージ中央へと歩みを進める。しかし、観衆に向かって片手を上げたその瞬間、バランスを崩し、そのまま床へと倒れ込んだ。

原因は現時点で不明だが、センサーの誤検知か、あるいは制御アルゴリズムがステージ上の照明や床の材質に適合できなかったのか。いずれにせよ、完璧に管理されたデモ環境でさえ、二足歩行ロボットにとってはいまだ「未知の荒野」であることを証明してしまった。

XPengのCEO、賀小鵬(He Xiaopeng)氏の対応は冷静だった。翌日、自身のWeiboで「子供が歩き方を学ぶ過程と同じだ。転んで、起き上がり、やがて走り出す」とコメント。この失敗を開発プロセスの一部であると強調し、火消しに回った。確かに開発段階での失敗は付き物だが、投資家や消費者が求めているのは「実験室の科学」ではなく「実用的な製品」だ。

競合他社の動きを見れば、市場の目は厳しくならざるを得ない。

同じ中国勢ではUnitreeの「G1」が、新雪の上で正確にオリンピックロゴを描くほどの精密な制御を見せつけている。アメリカに目を向ければ、Boston Dynamicsの「Atlas」がバック宙や側転をこなし、人間以上の身体能力を誇示して久しい。これらの先行事例があるからこそ、後発であるXPengの「単なる歩行中の転倒」は、技術的な周回遅れ感を際立たせてしまう。

なぜ自動車メーカーがこぞってロボットを作るのか。それは、自動運転技術で培ったAIやセンサー技術、モーター制御のノウハウを転用できると踏んでいるからだ。テスラの「Optimus」も同様のアプローチをとる。しかし、タイヤで走る車と、不安定な二本足で立つロボットでは、制御の複雑さが桁違いだ。今回の転倒は、その参入障壁の高さを改めて浮き彫りにした。

ネット上ではこの映像に対し、Redditを中心にユーモア交じりの同情が集まっている。完璧すぎるPR動画に飽き飽きしていた層にとって、この「人間臭い失敗」がかえって親近感を生んだ側面もあるだろう。

だが、産業用としての実用化を目指すなら、愛嬌だけでは生き残れない。転倒は「成長の過程」かもしれないが、市場は悠長にその成長を待ってはくれないのだ。XPengがこのつまずきを糧に、次はUnitreeやBoston Dynamicsの背中を捉えることができるか。真価が問われるのは、起き上がった後の「次の一歩」である。

Source:Sina.cn

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この記事を書いた人

私の始まりはプログラマーとしてシステム開発に携わり、ガジェットの内部構造や技術的な課題を深く理解してきました。その後は営業マンとして、技術が市場でどのように受け入れられ、どのようなニーズがあるのかを現場で学んできました。
この「技術的な解像度の高さ」と「市場における現実的な価値」という二つの視点が、このブログで情報をお届けする上での私の基盤となっています。

ちなみに私のガジェット愛の原点は、初代iPhoneよりもさらに昔、いにしえのPDA『Palm』に遡ります。あの頃の端末は「できないこと」だらけでした。しかし、限られた環境の中で「どうすれば目的を達成できるか」と知恵を絞り、工夫を凝らす作業こそが、私にとって最高の楽しみでした。

長らくは初代iPhoneからの筋金入りApple信者でしたが、進化の速度が凄まじい昨今、フラッグシップの安定感を持つApple製品に加え、多種多様な機能を提供するAndroid端末を深く使い込む機会が増えています。

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