【予約開始】Stream RingはOura Ringの競合じゃない。あなたの「脳」の外部ストレージだ。AIが“自分の声”で思考を整理する未来とは?

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「あ、いいこと思いついた」

そうひらめいた瞬間、あなたはポケットのスマートフォンに手を伸ばす。ロックを解除すると、そこには大量の通知。X(旧Twitter)のアイコン、LINEのバッジ、TikTokのおすすめ通知…。

「ちょっとだけ」とアプリを開いたが最後。 気づけば30分が経過し、さっき思いついたはずの「いいこと」は、デジタルの泡の向こうにすっかり消え去っている。

これは、現代を生きる私たち全員が経験している「集中力の災害」ではないだろうか。私たちは「記録する」という目的のためにデバイスに手を伸ばし、結果として「思考を中断させられる」という本末転倒な事態に陥っている。

もし、この「スマホに手を伸ばす」というワンクッションを、集中力を切らさずに代替できるデバイスがあるとしたら?

Meta(旧Facebook)の元従業員たちが設立したSandbar社が発表した「Stream Ring」は、まさにその「思考のうさぎの穴」問題を解決するために設計された、まったく新しいAI搭載スマートリングだ。

これは、あなたの健康を管理するOura Ringや、通知を受け取るApple Watchとは、似て非なるもの。 これは、あなたの「意識の流れ」を捉えるための、専用デバイスだ。

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Stream Ringとは何か? なぜ「指輪」なのか?

現在、市場に出回っているスマートリングの多くは、睡眠、心拍数、活動量といった「ヘルスケア」に焦点を当てている。だが、Stream Ringは違う。彼らの目的は「生産性」ですらない。「あらゆるものを記録・分析する」ことでもない。

彼らの目的は、ただ一つ。 ユーザーの「意識の流れ(Stream)」を、リアルタイムで、邪魔することなく捉えることだ。

このデバイスの前提は、驚くほどシンプルだ。 「思考は、常に流れている。そして、その流れは非常に邪魔されやすい」という事実認識に基づいている。

Stream Ringの使い方はこうだ。 アイデアが浮かんだら、リングを持ち上げ、側面の圧力パッドに指を押し当て、ただ、ささやくだけ。

スマートフォンを取り出す必要も、アプリを開く必要もない。Sandbar社によれば、バスや電車の中など、周囲に人がいる環境でも、ささやくだけで認識できるという。

考えてみてほしい。 「スマホに向かって(SiriやGeminiに)話しかける」という行為には、思いのほか心理的ハードルがある。しかし、指輪に向かって「ささやく」のであれば、そのハードルは劇的に下がる。

この「邪魔にならない」という一点において、指輪という形状は、思考をキャプチャするデバイスとして最適解なのかもしれない。

ただのボイスメモだと思うな。「AI」が真価を発揮する

「それなら、ボイスレコーダーでもいいのでは?」と思うかもしれない。 だが、Stream Ringは単なる録音機ではない。

リング自体は音声を録音しない。代わりに、あなたのささやきを即座にLLM(大規模言語モデル)がテキストに書き起こし、スマートフォンの「Streamアプリ」(現在はiOSのみ)に時系列で整理していく。もちろん、デスクトップインターフェースも用意される。

あなたの「意識の流れ」が、自動でテキストデータとして蓄積されていく様は、まさに「脳の外部ストレージ」と呼ぶにふさわしい。

しかし、このリングの真価は、メモ機能だけにとどまらない。当然のように、AIとの会話機能が搭載されている。

蓄積されたメモについて質問したり、アイデアを壁打ちしたりできる。ここまでは、ChatGPTなどの既存AIとできることは変わらないように見える。 だが、Stream Ringは、AIとの「関係性」において、非常に奇妙で、興味深いアプローチをとった。

最大の衝撃。AIが「自分の声」で話しかけてくる

「AI精神病」という言葉をご存じだろうか。 ChatGPTなどのAIと長時間対話したユーザーから報告される、奇妙な精神的疲労や不満のことだ。AIは便利だが、所詮は「他人」であり、その「人間ではない何か」と対話し続けることへの違和感が、我々の精神を消耗させる。

Sandbar社は、この問題を深く理解していたようだ。 彼らが出した答えは、一見すると突拍子もないものだった。

Stream Ringはデフォルトで、「インナーボイス(内なる声)」機能を使用する。

これは、Eleven Labsの音声技術を利用し、AIの応答音声を「ユーザー自身の声」に基づいてパーソナライズするというものだ。

つまり、あなたがStream Ringに話しかけると、AIは「あなたの声」で返事をしてくるのだ。 (もちろん、自分の声が聞きたくない人のために、他の音声オプションも用意されている)

これは何を意味するか? 開発者が目指したのは、AIを「友人や興味深い見知らぬ人」として擬人化することではなかった。 そうではなく、「自分自身と対話している」かのような、「内なる独白」をAIによって支援・拡張するという体験だ。

自分の思考(メモ)を、自分の声(AI)と対話しながら深めていく。 これは、AIとの関係性における、新しいパラダイムの提示かもしれない。我々はAIを「使う」のではなく、AIを「自分の一部」として取り込むフェーズに入ったのだ。

デバイスとしての完成度と、気になる価格・サブスク

もちろん、基本的なガジェットとしての機能も押さえている。 リングを一度タップすれば音楽の再生・一時停止、ダブルタップで曲送り、スワイプで音量調節といったメディアコントロールが可能だ。

バッテリーは「一日中使える」とされており、USB-Cで充電可能なスリムな専用チャージャーが付属する。

現在、Stream Ringは公式サイトで予約受付中だ。

  • マットシルバー: 249.00ドル
  • ポリッシュゴールド: 299.00ドル
  • サイズは5~13。サイズキットが付属

購入者には「Stream Pro」プランが3ヶ月間無料で提供される。Proプランでは無制限のインタラクション(AIチャット)や先行機能が利用でき、3ヶ月経過後は月額10ドルのサブスクリプションとなる。

無料プランでもメモの記録は無制限だが、AIチャットの回数に制限がかかるようだ。

現時点での最大のネックは、アプリがiOS版のみであることだろう。Sandbarはデスクトップ版とAndroid版も開発中としているが、Androidユーザーはもう少し待つ必要がありそうだ。

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