スマートフォンのカメラをかざして、目の前のモノや文字を「検索」する——。Google レンズの登場以来、私たちのカメラは単なる記録装置から、世界を理解するための「目」へと進化を遂げました。では、もしその「目」が、見たものをただ理解するだけでなく、瞬時に新しいビジュアルを「創造」する力を手に入れたとしたら、どうでしょう?
今、Googleが水面下で進めているのが、まさにそんな未来を実現するプロジェクトです。
「Nano Banana」というユニークなコードネームで呼ばれる最新のAI画像編集ツールを、Google レンズとかこって検索という、同社の二大ビジュアル検索機能に直接統合しようとしているのです。
記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓


「検索」の隣に現れる「創造」ボタン:Nano Bananaとは何か?
今回のニュースの核心は、Google レンズのインターフェースに訪れる、ある重大な変化です。
最新のGoogleアプリの内部コードから明らかになった情報によると、おなじみの「検索」や「翻訳」といったタブの隣に、新たに「作成(Create)」というタブが追加されるとのこと。この「作成」ボタンこそが、強力なAI画像編集機能「Nano Banana」への入り口となります。
これは、単なる機能追加以上の、Googleの哲学的なシフトを意味します。これまでGoogle Lensは、画像に写っている情報を読み解き、ユーザーに答えを提示する「入力(インプット)」ツールでした。
しかし、「作成」機能の追加により、ユーザーが抱くイメージを元に、新しい画像を生成する「出力(アウトプット)」ツールへと進化を遂げるのです。私たちのスマホカメラは、世界を検索するだけでなく、世界を再創造するキャンバスになろうとしています。

使い方は驚くほどシンプル:「撮って、書いて、創造する」
では、具体的にどのようにして画像を作成するのでしょうか。そのプロセスは、専門的な知識を一切必要としない、驚くほど直感的なものになるようです。
- まず、Google Lensを起動し、新設される「作成」タブをタップします。
- その場で写真を撮るか、ギャラリーから編集したい画像を選びます。
- あとは、テキストプロンプト(文章による指示)で、AIに実行してほしい編集内容を具体的に説明するだけです。
例えば、公園のベンチの写真を撮り、「このベンチに眠っている猫を追加して」と入力したり、曇り空の写真に「空を美しい夕焼けに変えて」と指示したり。まるで魔法のように、あなたの言葉がビジュアルに変換されるのです。
アプリの内部コードには、「撮影し、作成し、そして共有する(shoot, create, and share)」というユーザーを導くアニメーションも含まれており、この機能が専門家向けではなく、誰もが日常的に楽しみ、SNSなどで気軽に共有することを想定して設計されていることが伺えます。

専用アプリは不要に?AI編集が“OSレベル”で身近な存在へ
この統合がもたらす最大の変化は、AIによる画像編集が、より身近でシームレスな体験になることです。
これまで、高度なAI画像編集・生成を行うには、専用のアプリを起動する必要がありました。しかし、Nano BananaがGoogle LensやCircle to Searchに組み込まれることで、その一手間が不要になります。気になった画像を検索するのと同じくらい自然な流れで、画像の編集や創造ができるようになるのです。
これは、AIによるクリエイティブな作業が、一部の特別なアプリから解放され、AndroidというOSの視覚インターフェースそのものに溶け込んでいく未来を示唆しています。
誰もがクリエイターになれる時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。っていうと大げさに聞こえるかもしれませんが、実際かなり高品質な画像が生成できますからね、、、これから更に便利になりそうで楽しみではあります。

