「チタンよりも強い」という触れ込みで登場したOnePlus 15。最新のSnapdragon 8 Elite Gen 5を搭載し、Xiaomi 17 Proと並ぶ今年の注目株です。しかし、購入ボタンを押す前に、あなたには知っておくべき「不都合な真実」があります。
それは、選ぶカラーによって、スマートフォンの「防御力」の性質がまるで別物になってしまうという事実です。
ある色は硬貨と一緒にポケットに入れただけでボロボロになり、ある色は落とした瞬間にクモの巣状に砕け散るリスクがある。公式ページではさらっと流されているこの素材の違いこそが、長く使う上での運命の分かれ道になります。
今回は、過酷な耐久テストでおなじみのYouTubeチャンネル「JerryRigEverything」の検証結果と分解レポートを元に、OnePlus 15の真の姿を丸裸にしていきます。
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「チタンの1.3倍」マイクロアーク酸化の実力とは
まず、OnePlusが声高にアピールしている新技術「マイクロアーク酸化」について触れておきましょう。
これはアルミニウムフレームに施された特殊な表面処理のことで、メーカーの主張によれば、あの頑丈なチタン素材の1.3倍もの耐久性を誇るとされています。実際に、カッターナイフのような鋭利な刃物を使ったテストでも、フレーム自体は驚くべき耐性を見せました。
しかし、スマートフォンはフレームだけでできているわけではありません。問題は、私たちが一番触れる「背面」にあります。

色選びは「傷」と「割れ」のトレードオフ
ここが今回の最大の争点です。OnePlus 15のカラーバリエーションには、素材レベルでの大きな違いが隠されています。
- Sand Storm(ベージュ系): グラスファイバー強化プラスチック
- Infinite Black / Ultra Violet: ガラス
通常、フラッグシップモデルといえば「ガラスと金属」のサンドイッチ構造が常識です。しかし、Sand Stormモデルでは、あえてプラスチック素材が採用されています。
プラスチック採用のメリットとデメリット
検証動画では、Sand Stormモデルの背面が、硬貨のような日常的な金属と擦れるだけで、目に見える傷がついてしまう様子が映し出されました。プラスチックは柔らかいため、摩擦による「傷」にはめっぽう弱いのです。
一方で、プラスチックには「割れない」という最強のメリットがあります。ガラスモデルは地面に落とせば粉砕するリスクと隣り合わせですが、プラスチックモデルなら、衝撃を吸収し、へこむことはあってもバキバキに割れることはありません。
公式サイトでは、このSand Stormモデルが他より「4g軽い」こと以外、素材の違いについて明確な記述がありません。これを知らずに「色が好みだから」という理由だけで選ぶと、ポケットから出した瞬間に無数の擦り傷に絶望することになるかもしれません。

分解してわかった「7,300mAh」の怪物の正体
耐久テストで外装を剥がした後、内部の分解が進むと、この端末の真の価値が見えてきました。
そこには、巨大なデュアルセルバッテリーが鎮座していました。その容量、なんと7,300mAh。
一般的なハイエンドスマホが5,000mAh前後で推移している中、この数字は異常とも言える大きさです。ヨーロッパ市場へ出荷するための厳しい基準をクリアしつつ、これだけのバッテリーを詰め込むために、内部設計は極限まで最適化されています。
また、発熱対策としてのベイパーチャンバー冷却システムも巨大で、Snapdragon 8 Elite Gen 5の爆熱を抑え込む気満々であることが伺えます。さらに、これだけの詰め込み具合でありながら、IP69という最高レベルの防塵・防水性能を維持している点は、素直に称賛すべき技術力でしょう。
分解の過程で、プラスチックモデルであっても筐体の強度が非常に高く、無理な力を加えても簡単には曲がらないことも証明されました。素材がプラスチックだからといって、本体そのものが「ヤワ」なわけではないのです。
スペック表の「行間」を読む重要性
今回のOnePlus 15の件で私が感じたのは、メーカーの「沈黙」が持つ意味です。
プラスチックを採用すること自体は、軽量化や耐衝撃性の観点から見れば、決して悪い選択ではありません。しかし、それを「プレミアムな質感」という曖昧な言葉で包み隠し、ガラスモデルと同列に並べて販売する手法には、少しばかり不誠実さを感じてしまいます。
ユーザーとしての最適解はシンプルです。
- Sand Storm(プラスチック)を選ぶなら: 傷を防ぐために、購入初日からケースが必須。
- ガラスモデルを選ぶなら: 割れを防ぐために、やはりケースが必須。
結局のところ、どちらを選んでもケースをつける未来は変わらないのかもしれません。しかし、「知ってて選ぶ」のと「知らずに傷だらけになる」のでは、その後の愛着に雲泥の差が出ます。

