「ソニーもLGのようにスマートフォン事業から撤退するのでは…」

ここ数年、Xperiaを愛するファンの間で、そんな不安の種が静かに、しかし確実に芽吹いていました。市場シェアのニュースが流れるたびに、ため息をついた方も少なくないでしょう。しかし、そんな暗雲を吹き飛ばす、力強い公式声明がついに発表されました。

ソニーは、Xperiaをやめません。

この記事では、ソニーの決算説明会で語られた内容を基に、なぜ彼らがXperia事業を続けるのか、その深層にある戦略と、私たちが次に手にすることができるであろう未来のXperiaについて、徹底的に掘り下げていきます。この記事を読み終える頃には、あなたのXperiaへの愛情と期待は、より一層確かなものになっているはずです。

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【結論】ソニーはXperia事業から撤退しない！公式が断言

まず、最も重要な結論からお伝えします。ソニーはスマートフォン事業を継続します。

2025年8月7日に行われた決算説明会。この場で、ソニーグループの最高財務責任者（CFO）であるタオ・リン氏は、飛び交う憶測をきっぱりと否定しました。

「Xperiaは、当社にとって非常に重要な事業である」

この一言は、単なる現状維持の宣言ではありません。それは、Xperiaがソニーという巨大なテクノロジー企業の中で、かけがえのない役割を担っていることの証明であり、未来に向けた力強いコミットメントです。長年Xperiaの動向を固唾を飲んで見守ってきたファンにとって、これほど心強い言葉はなかったでしょう。

なぜソニーはXperiaを作り続けるのか？その3つの戦略的理由

では、なぜソニーは市場シェアで苦戦が伝えられる中でも、Xperiaというブランドを守り、育て続けるのでしょうか。その理由は、単に「スマホを売る」というビジネスの枠を超えた、ソニーならではの壮大な戦略に隠されています。

理由1：あらゆる技術の心臓部。Xperiaはソニーの「ハブ」である

タオ・リンCFOは、「ソニーは依然としてスマートフォンを他の通信技術事業全体の将来のイノベーションの基盤と位置付けている」と説明しました。

これは一体どういう意味でしょうか？

現在のソニーは、世界最高峰のイメージセンサーを誇るカメラ部門（αシリーズ）、高音質な音楽体験を提供するオーディオ部門（ウォークマンやヘッドホン）、そして世界中の人々を熱狂させるエンタテインメント部門（PlayStation）など、多岐にわたる事業を展開しています。

Xperiaは、これらソニーが誇る技術の粋を集め、一つのデバイスに凝縮させる「ハブ（中心・結節点）」としての役割を担っているのです。

• カメラ
  αシリーズで培った超高速オートフォーカスやプロレベルの撮影設定を、誰もがポケットに入れて持ち運べるようにする。
• オーディオ
  ハイレゾ音源の再生はもちろん、有線イヤホンを愛するユーザーのために3.5mmジャックを搭載し続けるこだわり。
• ゲーム
  PlayStationとの連携を深め、外出先でも快適なリモートプレイ体験を提供する。

つまり、Xperiaは単体のスマートフォンとして利益を追求するだけでなく、ソニーグループ全体の技術力を誇示し、各事業間の連携を強化するための、いわば「走るショールーム」なのです。この視点に立つと、目先の販売台数だけで事業の価値を判断するのは、あまりにも早計であることがわかります。

理由2：他社に依存しない未来へ。次世代通信への戦略的投資

スマートフォンは、現代社会におけるコミュニケーションの根幹です。そして、その技術は5Gから6Gへと、休むことなく進化を続けています。

もしソニーがスマートフォン事業から撤退すれば、この最も身近な通信デバイスの開発ノウハウを失い、将来の技術革新の波から取り残されてしまうリスクがあります。自社でスマートフォンを開発し続けることは、未来の通信規格や新しいサービスの時代が来たときに、他社のプラットフォームにただ乗りするのではなく、自らが主導権を握るための重要な布石なのです。

これは、長期的な視点に立った「未来への投資」と言えるでしょう。

理由3：「わかる人にはわかる」という価値。ファンとの揺るぎない絆

市場の大多数がワイヤレスイヤホンに移行する中、ソニーは最新のフラッグシップモデルでさえ3.5mmイヤホンジャックを搭載し続けています。これは、ビジネス的な合理性だけを考えれば、真っ先に切り捨てられてもおかしくない仕様です。

しかし、ソニーはそうしませんでした。なぜなら、そこには「有線でなければ得られない音質がある」と信じ、それを求めるクリエイターやオーディオファンが確実に存在することを知っているからです。

AppleやSamsungが万人に受ける「最大公約数的」な製品を目指すのに対し、ソニーは特定の分野で「最高」を求めるユーザーに深く寄り添う戦略をとっています。この「こだわり」こそが、Xperiaを他のスマートフォンとは一線を画す唯一無二の存在たらしめているのです。この姿勢が、熱心なファン層との強い絆を育み、ブランド全体の価値を支えています。

今後のXperiaはどうなる？次期モデルの可能性を考察

事業継続が明言された今、私たちの関心は「次にどんなXperiaが登場するのか？」という点に移ります。現在噂されている情報を基に、今後のラインナップを考察してみましょう。

ハイエンドモデル：「Xperia 1 VII」は我が道を往く？

残念ながら、今回の発表では「Xperia 1 VII」で米国市場のトップシェアを積極的に狙うという姿勢は見られませんでした。これは、これまで通り、プロのフォトグラファーや映像クリエイター、そして最高の視聴体験を求めるユーザーに特化した、ニッチで強力なフラッグシップモデルとして進化を続けることを示唆しています。

むやみにシェアを追うのではなく、「Xperiaにしかできないこと」をさらに突き詰めていく。そんな孤高のフラッグシップの登場に期待が高まります。

ミッドレンジ市場への再挑戦！「Xperia 10 VII」に期待大！

一方で、非常に興味深い動きもあります。それが、ミッドレンジモデル「Xperia 10 VII」の存在です。

「XQ-FE44」という型番とともに、2025年10月の発売が噂されています。もしこれが実現すれば、ソニーの高品質な映像・音響技術を、より手頃な価格で体験したいと考えている多くのユーザーにとって、待望の選択肢となるでしょう。

フラッグシップの「1」シリーズ、コンパクトの「5」シリーズに続く、新たな柱として市場に受け入れられるのか、その動向から目が離せません。

ファンの願いは届くか？「Xperia 5」シリーズの行方

今回の説明会で、残念ながら復活が明言されなかったのが、コンパクトハイエンドとして根強い人気を誇った「Xperia 5」シリーズです。

「ハイエンドの性能は欲しいけれど、大きすぎるのは困る」というユーザーの受け皿として、重要な役割を担ってきたシリーズだけに、その復活を望む声は後を絶ちません。ソニーがファンの声にどう応えるのか、今後の発表を待ちたいところです。