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Appleが3月4日にニューヨークで特別イベントを開催すると発表した直後、その招待状画像にピンクのスプレーで「Nothing 5 March」と日付を上書きし、自社の新製品発表を告知する。
Nothingのカール・ペイCEOがXで仕掛けたこの「悪ふざけ」は、単なるジョークではない。世界中が注目するAppleのイベントの熱量を、翌日の自社イベントへと巧みに誘導する、極めて計算高いゲリラ・マーケティングだ。
Appleのイベントでは、A18 Proチップを搭載した低価格帯の新型MacBookなどが期待されているが、Nothingが翌5日に投入するのはミッドレンジスマートフォンの「Nothing Phone (4a)」および「(4a) Pro」である可能性が高い。
ここで注目すべきは、カール・ペイ氏が「今年はフラッグシップモデル(Phone 4)を出さない」と明言している点だ。前モデルから大きな変化がないのに毎年新機種を出す業界の悪癖には付き合わない、という姿勢は潔い。その代わり、同社が最も得意とする「手頃でデザイン性の高い」aシリーズに全力を注ぐ戦略をとった。
— Carl Pei (@getpeid) February 17, 2026
噂されるスペックで最も実用的な進化は、ストレージ規格の変更だ。リーク情報通りであれば、前作のUFS 2.2から、より高速なUFS 3.1へとアップグレードされる。チップセットがSnapdragon 7s Gen 4へ刷新されること以上に、このストレージ速度の向上はアプリの起動や画像の読み込みといった体感速度に直結する。ミッドレンジ特有の「もっさり感」を解消する重要な一手だ。
また、CEOが投稿した画像で使われた「ピンク」のスプレーや、最近の謎めいたドット絵の投稿は、新色の投入を示唆している。これまでのモノトーン路線に加え、イエロー、ブルー、そしてピンクといったポップなカラーバリエーションが展開される公算が高い。
これらはスマホ本体だけでなく、同時発表が予想される「Nothing Headphone (a)」のカラーである可能性も残るが、いずれにせよ視覚的なインパクトを重視するNothingらしい展開だ。
巨大テック企業の隙間を縫うように、独自の立ち位置を確立しつつあるNothing。フラッグシップ不在の年となるが、スペックの数値競争よりも「体験」と「デザイン」でユーザーを振り向かせる彼らの戦術が、市場でどう受け入れられるかが試される。3月5日、その「ピンク」の正体が明らかになる。

