既存曲からギターを消すAI。JBL「BandBox」が放つ音楽機材の革命

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リスニング用スピーカーと楽器用アンプの境界線がついに消失した。JBLが発表したBandBoxシリーズは、独自のStem AIによって既存の楽曲から特定の楽器やボーカルをリアルタイムで分離・消去できる。練習やセッションの在り方を根本から変えてしまう、まさに「AI時代のポータブルアンプ」だ。

これまで楽曲から特定のパートを抜き出す、あるいは消去するには、PC上での高度な編集作業が不可欠だった。しかし2026年2月に登場するBandBoxは、このプロセスをハードウェア側で完結させる。ボーカルやドラムをボタン一つで消し去り、自分だけのマイナスワン・トラック(カラオケ状態)を即座に作り上げる。この機動力こそが最大の魅力だ。

ラインナップは、ソロプレイヤー向けのSolo(249ドル)と、本格的なTrio(599ドル)の2モデル。特にSoloは18W出力ながら、リバーブやコーラスといった基本エフェクトに加え、ルーパーやピッチシフターまで搭載している。USB-CでノートPCと接続すればオーディオインターフェースとしても機能するため、自宅での配信や録音にもそのまま流用できる。

上位モデルのTrioに目を向けると、こちらはもはや「持ち運べるスタジオ」だ。135Wの大出力に4チャンネルミキサーを内蔵し、交換可能なバッテリーで10時間の駆動を実現した。6.5インチのウーファーが奏でるJBLサウンドは、リスニング用としても一級品。キャンプ場やストリートなど、場所を選ばずに本格的なバンドセッションを可能にするスペックを誇る。

この製品が市場に与える影響は小さくない。従来の練習用アンプは、音の良さやエフェクトの豊富さを競ってきた。しかしJBLはそこに「AIによる楽曲解体」という新たな軸を持ち込んだ。プロの楽曲を教材に、特定の楽器だけを強調して細部を聴き取ったり、逆に消去して自分がそのバンドに加わったり。そんな能動的な音楽体験が、誰にでも手の届く価格で提供される。

音楽機材におけるAI活用は、もはやソフトウェアの領域に留まらない。ハードウェアとAIが高度に融合したBandBoxは、演奏者の創造性を刺激する新たなスタンダードになるだろう。今後、他社からも追随する製品が登場するのは間違いなく、ポータブルアンプ市場は「AI搭載」を前提とした次なるフェーズへと突入する。

Source:BandBox SoloBandBox Trio

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この記事を書いた人

私の始まりはプログラマーとしてシステム開発に携わり、ガジェットの内部構造や技術的な課題を深く理解してきました。その後は営業マンとして、技術が市場でどのように受け入れられ、どのようなニーズがあるのかを現場で学んできました。
この「技術的な解像度の高さ」と「市場における現実的な価値」という二つの視点が、このブログで情報をお届けする上での私の基盤となっています。

ちなみに私のガジェット愛の原点は、初代iPhoneよりもさらに昔、いにしえのPDA『Palm』に遡ります。あの頃の端末は「できないこと」だらけでした。しかし、限られた環境の中で「どうすれば目的を達成できるか」と知恵を絞り、工夫を凝らす作業こそが、私にとって最高の楽しみでした。

長らくは初代iPhoneからの筋金入りApple信者でしたが、進化の速度が凄まじい昨今、フラッグシップの安定感を持つApple製品に加え、多種多様な機能を提供するAndroid端末を深く使い込む機会が増えています。

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