ここ数年、スマートフォンの進化は「より速く、より薄く、より高画質に」というスペック競争一辺倒だったように感じませんか。正直なところ、どれも似たり寄ったりのガラスの板に見えてきてしまう、そんな「スマホ飽き」を感じているのは私だけではないはずです。
そんな中、ロンドン発のテクノロジーブランドNothingが、私たちの予想を良い意味で裏切るデバイスを投下してきました。3月のコンペティションを経てついに正式発表された「Nothing Phone (3a) Community Edition」。
Source:Nothing

テクノロジーは「透過」する。90年代フロストティールの衝撃
まず目を奪われるのが、その外観です。「フロストティール」と名付けられたこの仕上げ、一目見た瞬間に強烈な既視感を覚えませんか?
そう、90年代後半から2000年代初頭にかけて大流行した、中身がうっすら透けて見える「スケルトン」デザインです。
今回のCommunity Editionは、まさにその時代の空気感を「ミントグリーンのフロスト透明仕上げ」で再現しています。最近ではゲーミング市場でも「Analogue 3D」や「8BitDo 64」といったデバイスが同様のアプローチで人気を博していますが、Nothingはそれを最新のスマートフォンでやってのけました。
ただの透明ではありません。「フロスト(すりガラス状)」である点が重要です。
完全にクリアなプラスチックは安っぽく見えがちですが、フロスト加工を施すことで、光を柔らかく拡散させ、内部のメカニズムを幻想的に浮かび上がらせます。背面に配置された色付きの四角や円のグラフィックも、当時の基盤や電子部品を抽象化したような遊び心を感じさせます。

ユーザーと共犯関係を結ぶ「コミュニティ・デザイン」
この端末が面白いのは、デザインのプロセスそのものが「変化」している点です。
通常、製品開発はメーカーの密室で行われますが、これはその名の通り「Community Edition」。3月に開催されたコンペティションを通じて、ファンやユーザーのアイデアを吸い上げ、具現化したものです。
黒い音量ボタンに、鮮烈なマゼンタ色の電源ボタン。この配色は、おそらく一人のデザイナーの独断では生まれなかったでしょう。コミュニティの集合知が生み出した「違和感のある調和」が、既製品にはない独特の個性を放っています。
本体だけでなく、販売箱に至るまでアクセントカラーが統一されているのも、Nothingブランドとしては初の試み。開封体験そのものを一つの作品として捉えていることが分かります。
12月12日決戦。スペックと入手難易度について
さて、もっとも現実的な話をしましょう。この「Nothing Phone (3a) Community Edition」は、世界でたった1,000台しか存在しません。
世界規模で1,000台です。日本国内の割り当てが何台になるかは未知数ですが、争奪戦になることは火を見るよりも明らかです。
主なスペックはNothing Phone (3a) と同じ。
- RAM: 12GB
- ストレージ: 256GB
- 価格: 59,800円(税込)
- 発売日: 12月12日(期間限定販売)

