「小さいスマホはバッテリーが持たない」。これは長年、私たちが受け入れてきた悲しい常識でした。片手に収まる操作性と引き換えに、モバイルバッテリーを持ち歩く不自由さを受け入れる。そんな我慢の時代が、唐突に終わりを告げようとしています。
Vivoが準備している新型機「Vivo S50 Pro Mini」の情報を見たとき、多くのガジェットファンが目を疑いました。「6.3インチのコンパクトボディに、6,500mAhのバッテリー?」誤植ではありません。
これは、これまでの物理的な制約をあざ笑うかのようなスペックです。今回は、12月に登場が予想されるこの「フラッグシップキラー」が、なぜこれほどまでに注目されているのか、その全貌に迫ります。
Source:Han Boxiao
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物理法則を無視?6,500mAhという衝撃
まず語るべきは、やはりバッテリーです。通常、6.3インチクラスのスマートフォンであれば、4,000mAhから4,500mAhあれば「良い方」とされます。しかし、Vivo S50 Pro Miniはその数値を軽く飛び越え、6,500mAhという、大型のタブレットに迫る容量を搭載してきました。
これは、シリコンカーボンバッテリーなどの高密度化技術が、新たなフェーズに入ったことを示唆しています。90Wの有線急速充電と40Wのワイヤレス充電に対応している点も見逃せません。朝の支度中に充電すれば1日持つどころか、ライトな使い方なら2〜3日は充電器を忘れても平気かもしれない。そんな「バッテリー不安からの完全な解放」が、このサイズ感で手に入るのです。

Snapdragon 8 Gen 5という羊の皮を被った狼
「Mini」という名前がつくと、スペックも「Mini(控えめ)」にされがちです。しかし、この端末に関してはその法則は当てはまりません。心臓部には、次世代の最高峰チップセット「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 5」が搭載される予定です。
AnTuTuベンチマークスコアは300万点超え。これは、現在市場に出回っている最高性能のPCすら一部凌駕する処理能力です。重い3Dゲームも、4K動画の編集も、この小さな筐体の中で涼しい顔をしてこなしてしまう。熱処理はどうなっているのかという疑問は残りますが、LPDDR5XメモリとUFS 4.1ストレージの組み合わせにより、動作の詰まりを感じることはまずないでしょう。
ペリスコープ搭載でカメラも妥協なし
小型スマホがこれまで切り捨ててきたもう一つの要素が「望遠カメラ」です。スペースの都合上、どうしても搭載が難しかったペリスコープ(潜望鏡)構造の望遠レンズを、Vivoはこのサイズにねじ込んできました。
50MPのメインカメラに加え、ソニーIMX882センサーを採用した50MPのペリスコープ望遠カメラを搭載。遠くの被写体を引き寄せても画質が劣化しない撮影体験は、これまで大型の「Pro」モデルユーザーだけの特権でした。さらにIP68/IP69Kという最強クラスの防水防塵性能も備えており、水中撮影すら視野に入るタフネスぶりです。
デザインの既視感と独自性
公開された画像を見ると、フラットな金属フレームや全体的なシルエットに、噂されている「iPhone Air」や現行のiPhoneシリーズへの対抗心が透けて見えます。しかし、背面には独特な錠剤型のカメラモジュールを配置し、Vivoらしさもしっかり主張しています。
ディスプレイにはSamsung製とも噂される高品質なAMOLEDパネルを採用し、超音波指紋認証を画面下に内蔵。顔認証だけでなく、濡れた指でも爆速で解除できる超音波式を採用している点は、実用面での大きなアドバンテージです。

