「ヘイ、Siri。君の出番はもう少し減るかもしれない」
長年、私たちのiPhoneライフに寄り添ってきた(時にトンチンカンな回答で和ませてくれた)Siriですが、ついにその「特等席」を明け渡す時が来たようです。
AppleがリリースしたiOS 26.2の第3ベータ版。ここから読み取れるのは、単なる機能追加ではありません。これはAppleのエコシステムにおける「鎖国」が終わる合図かもしれません。
Siri以外のAI、例えばChatGPTやGoogle Geminiを、あの「サイドボタン長押し」で呼び出せるようになる。そんな未来が、すぐそこまで来ています。
この記事では、iOS 26.2で何が変わるのか、そして私たちが長年抱えてきた「AirDropのあの悩み」がどう解決されるのか、MacRumorsや9to5Macのリーク情報を基に、少し未来のiPhoneの使い方を深掘りしていきます。
記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓

もう「Siri」に縛られない。サイドボタンの自由化とは?
これまで、iPhoneの右側にあるサイドボタン(電源ボタン)を長押しすると、必ずSiriが起動していました。これはAppleが定めた絶対のルールであり、iPhoneのアイデンティティでもありました。
しかし、最新のベータ版で見つかったコードは、この常識を覆そうとしています。

開発者向けコードが語る「変化」
MacRumorsが発見したSiriフレームワーク内のコード変更は決定的です。これまで明確に「Siri」と記述されていた部分が、汎用的な「デフォルトのサイドボタンアプリ」という表現に置き換わっているのです。
これは何を意味するのでしょうか?
単純です。設定画面で「サイドボタン長押し」のアクションを、Siri以外のアプリに割り当てられるようになる可能性が高いということです。
- 今まで: ChatGPTを使いたい → アプリを探してタップ → 起動待ち → 入力
- iOS 26.2(予想): サイドボタンを長押し → 即ChatGPTが起動 → 音声で質問
この変化は、特にiPhone 17以前のモデルを使っているユーザーにとって、体感速度を劇的に変える「神アプデ」になるでしょう。
なぜ今、Appleは変わるのか?
「Appleがそんな親切なことをするはずがない」と思ったあなた、鋭いです。 この背景には、おそらくEU(欧州連合)のデジタル市場法(DMA)の影響があります。
サードパーティ製ソフトウェア(GoogleやOpenAIなど)にも、Apple純正アプリと同じハードウェア機能(ここではサイドボタン)へのアクセス権を与えなさい、という圧力です。
私たちが手にする「便利さ」の裏には、こうした巨大企業同士の攻防があるわけですが、ユーザーとしては「選択肢が増える」こと自体は大歓迎ですよね。

Google Gemini vs ChatGPT vs Siri
もしサイドボタンが解放されたら、私たちは何を相棒に選ぶべきでしょうか? ここで改めて、それぞれのAIアシスタントの特徴を比較検討してみましょう。
1. Google Gemini のメリット
言わずもがな、Google検索との連携が最強です。「近くの美味しいラーメン屋」を探すなら、Siriより頼りになることが多いでしょう。カレンダーやマップ、Gmailを多用している人には、これ一択かもしれません。
2. ChatGPT のメリット
文脈を理解する能力はずば抜けています。悩み相談やアイデア出し、要約など、「考える」作業をさせたら右に出るものはいません。さらに最新の音声モードは、人間と話しているのと区別がつかないレベルです。
3. それでも Siri を使うメリット
「画面を暗くして」「Wi-Fiをオフにして」といった端末自体の操作に関しては、純正のSiriが依然として最も安定しています。デバイス内処理を重視するAppleの姿勢は、データセキュリティを気にする人には大きな安心材料です。
「賢さ」をとるか、「操作性」をとるか。これからはユーザー自身が、自分のライフスタイルに合わせて「相棒」を面接し、採用する時代になるのです。

AirDropの「10分制限」撤廃? PINコードで繋がる新しい共有体験
Siriの話題で持ちきりになりそうですが、実は地味に、しかし確実に便利なのがAirDropのアップデートです。
連絡先交換のハードル
「写真送るからAirDrop点けて!」
「あ、ごめん、連絡先入ってないから『すべての人(10分間)』にしてくれない?」
このやり取り、誰もが一度は経験したことがあるはずです。セキュリティのために普段は受信をオフにしている人が多いため、いざ共有しようとすると設定変更の手間が発生します。
PINコードによるペアリングと30日ルール
9to5Macが報じた新機能は、このストレスを解消するものです。
連絡先を知らない相手でも、画面に表示されるコードを入力するだけで安全に接続可能に。そして、一度ペアリングしたデバイスは、連絡先に登録していなくても30日間は「知っているデバイス」として表示される。
これは、イベントで出会った人と写真を共有したり、短期プロジェクトで一時的に頻繁にファイルをやり取りする際に非常に便利です。「連絡先を交換するほどではないけれど、その場限りでもない」という、現代の絶妙な距離感に対応した機能と言えるでしょう。

ついでにApple Payも? ダブルクリックの未来
サイドボタンの「長押し」が解放されるなら、「ダブルクリック」はどうなるのでしょうか。 どうやらApple Pay(ウォレット)の起動も、サードパーティ製決済アプリに変更できるようになる兆候があります。
もしこれが実現すれば、PayPayや楽天ペイなどをダブルクリック一発で起動できるようになるかもしれません。レジ前でアプリを探してアタフタする時間がなくなるなら、これもまた「タイパ」向上に直結する改善です。
今回のiOS 26.2に関するリーク情報は、iPhoneというプロダクトが「Appleが作った完璧な箱庭」から、「ユーザーが好みに合わせてカスタマイズできるツール」へと変貌を遂げていることを示しています。
正直なところ、私はSiriの声に愛着があります。アラームをセットしてもらう時の、あの少し機械的な返事が好きです。ですが、もしボタン一つでChatGPTが私の思考を整理してくれるなら、迷わずそちらを選ぶでしょう。

