「Appleが出せば売れる」。それは、もはや神話に近い共通認識でした。しかし、その常勝軍団が、ここ数年どうしても攻略できない分野があります。それが「ベースモデルとProモデルの間に位置する、第4のiPhone」です。
我々は「mini」の終わりを見届け、「Plus」の苦戦を横目にし、鳴り物入りで登場した「Air」の失速を眺めてきました。そして今、その系譜に「iPhone 16e」が名を連ねようとしています。すでに「商業的失敗」の烙印を押された16e。
しかし、Appleは諦めません。リーカーたちは、この失敗を踏まえた上で、Appleが「最後のチャンス」として「iPhone 17e」を2026年に準備していると伝えています。これは希望なのでしょうか、それとも同じ過ちの繰り返しなのでしょうか。

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早すぎる「失敗」の烙印
iPhone 16eが市場に登場してから、まだそれほど長い時間が経ったわけではありません。しかし、調査会社やリーカーからの評価は驚くほど厳しいものです。
人気のWeiboアカウント「Fixed Focus Digital」は、16eがAppleの商業的失敗リストに加わる可能性を指摘。さらにCounterpoint Researchの分析は決定的です。16eの売上は、過去のiPhone SEモデルすら下回っているというのです。
発売後1ヶ月の売上シェアは、Apple全体のわずか8%。この数字が意味するものは大きい。Counterpoint社は、その不振の理由を「発売価格の高さ」にあると分析しています。
ユーザーが「e」モデル(あるいはSEの後継)に期待していたのは、性能と価格の絶妙なバランスだったはず。しかし、16eの価格設定は、その期待から大きく乖離していたようです。

「mini」から「Air」へ。迷走の系譜
思えば、iPhone 11シリーズ(2019年)以降、Appleのラインナップ戦略は「高価なPro」と「標準的なベースモデル」以外で、迷走を続けてきました。
コンパクトさを追求した「mini」は、一部の熱狂的なファンを生みましたが、市場全体を動かすには至らず、わずか2世代で姿を消しました。その反省からか、次に投入されたのは大画面廉価版の「Plus」でしたが、これもまた中途半端な立ち位置に苦しんでいます。
そして、「Air」。薄さと軽さを武器にした新しい提案でしたが、これもまた期待を大きく下回る結果に。その結果、続編であるはずの「iPhone Air 2」の発売延期が噂される始末です。
Appleは、ベースモデル、Proモデル、Pro Maxモデルという「三本の矢」に代わる、商業的に成功する「第四の矢」を見つけ出せずにいます。そして、iPhone 16eもまた、その「見つからなかった矢」の一本に数えられようとしているのです。
2026年、「iPhone 17e」という最後の賭け
iPhone 16eがこれほどの逆風に晒されているなら、普通は「e」ライン自体が廃止されてもおかしくありません。しかし、リーカーたちは異なる未来を予測しています。
Fixed Focus Digitalは、Appleがすでに「iPhone 17e」の発売に向けて順調に開発を進めていると報じているのです。
Appleの過去の行動パターン(miniを2世代で終了させたことなど)を鑑みると、この「e」モデルに与えられるチャンスは、おそらく次が最後でしょう。「あと1回だけ」、失敗の理由を修正したモデルを投入し、それでダメならラインごと切り捨てる。それがAppleのやり方です。
リーカーたちは、iPhone 17eの発売時期を「2026年春」と予想しています。奇しくも、延期が噂されるiPhone Air 2と入れ替わるかのようなタイミングです。これは、Appleが「Air」というコンセプトに見切りをつけ、「e」という廉価版のあり方に最後の望みを託していることの表れかもしれません。

まとめ
iPhone 16eの不振は、私たちに「Appleですら間違うことがある」という事実を改めて突きつけました。
「mini」がダメで、「Plus」も振るわず、「Air」も期待外れ、そして「16e」も失敗。この一連の流れは、Appleが「Proモデル以外でユーザーが何を求めているか」という最も重要な問いの答えを、完全に見失っているようにさえ見えます。
問題は、単なる価格設定のミスなのか。それとも、かつてのiPhone SE(第1世代)が持っていたような、「最新のチップを、手頃なサイズと価格で」という強烈なアイデンティティを、今の廉価版モデルが提供できていないことにあるのか。
2026年に登場が噂される「iPhone 17e」。それは、Appleにとって「廉価版iPhoneとは何か」という問いに対する、文字通り最後の回答用紙になるはずです。我々ユーザーが本当に求めている「ちょうどよさ」を、今度こそAppleが提示できるのか。

