ワイヤレスイヤホン市場の王座に君臨し続けるソニー「1000X」シリーズ。その最新作となる「WF-1000XM6」の足音が、ついに現実味を帯びて聞こえてきました。
現行モデルWF-1000XM5が今なお高い評価を得る中、その後継機を待ち望む声は日増しに大きくなっています。そんな中、米連邦通信委員会(FCC)にWF-1000XM6と思われるデバイスが登録されたことで、ファンの期待は最高潮に。
Source:TheWalkmanBlog
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心臓部(SoC)の変更がもたらす光と影 – aptX非対応は本当か?
今回のリークで最も大きな注目を集めているのが、イヤホンの頭脳であるSoC(システム・オン・チップ)の変更です。FCCへの提出書類や関連情報から、WF-1000XM6には従来のQualcomm製ではなく、MediaTek製のチップセットが搭載される可能性が極めて高いことが明らかになりました。
これは、ソニーのイヤホン戦略における大きな転換点と言えるかもしれません。
この変更がユーザーに与える最も直接的な影響は、対応コーデックです。MediaTek製チップセットを採用するということは、これまで多くのAndroidユーザーに高音質コーデックとして親しまれてきた「Qualcomm aptX」シリーズに非対応となることを意味します。
「え、音質が劣化するのでは?」と不安に思う方もいるでしょう。しかし、ソニーはどうやら別の、そしてより強力なカードを用意しているようです。

音質の新たな切り札!ソニーイヤホン初「DSEE Ultimate」搭載の可能性
aptX非対応というデメリットを補って余りある進化、それがソニー独自の高音質化技術**「DSEE Ultimate」の搭載**です。
これまでウォークマンなどの上位機種にのみ搭載されてきたこの技術が、ついにイヤホンにやってくるかもしれません。リーク情報によれば、新しいMediaTekのチップセット(MT2855と噂されています)は、DSEE Ultimateの処理に必要なAI性能を備えているとのこと。
DSEE Ultimateとは?
DSEE Ultimate(デジタルサウンドエンハンスメントエンジン)は、Edge-AI(人工知能)を活用し、圧縮されたデジタル音楽ファイルをリアルタイムでアップスケールします。進化したアルゴリズムにより、CD品質(16ビット、44.1/48kHz)のロスレスコーデックオーディオにおいて、さらに優れた効果を発揮します。音の繊細さとダイナミックレンジを忠実に再現し、より豊かで完璧なリスニング体験を提供します。 (ソニー公式より引用の趣旨)
つまり、ストリーミングサービスで配信されているような圧縮音源ですら、AIの力でハイレゾ級の豊かで繊細なサウンドに生まれ変わらせる技術です。特定の高音質コーデックに依存するのではなく、あらゆる音源をイヤホン側でアップスケーリングするという、ソニーらしいアプローチと言えるでしょう。これが実現すれば、多くのユーザーにとってaptX非対応という懸念を払拭するほどのインパクトを持つはずです。

気になる発売日はいつ?FCC認証情報から大胆予測
ファンにとって最大の関心事である発売日についても、ヒントが見えてきました。
FCCへの申請書類に含まれる「短期機密保持期間」は2026年3月31日までとなっています。これは、この日付まで製品の詳細を公開しないようにという要求です。
しかし、過去の例を見ると、ソニーはこの期間が終了するよりずっと前に製品を発表しています。前モデルWF-1000XM5の場合、機密保持期間の終了日より約1ヶ月早く正式発表されました。
このスケジュールを踏襲するならば、WF-1000XM6の発表は2026年の1月下旬から2月上旬頃になるのではないかと推測されます。残念ながら、これは年末のホリデーシーズンには間に合わないことを意味しますが、新年の幕開けと共に次世代のサウンド体験が届けられるのかもしれません。

デザインやハードウェアの進化点
現時点でデザインに関する明確なリーク画像はありません。しかし、FCCの資料に描かれたラベルの図からは、WF-1000XM5と同様の丸みを帯びた形状が維持される可能性が示唆されています。多くのユーザーが指摘していた、光沢があり滑りやすい表面が改善されていることに期待したいところです。
アンテナの性能もわずかに向上しているようです。アンテナゲインがWF-1000XM5の-3dBiから-2.5dBiへと改善されており、接続安定性のさらなる向上に寄与する可能性があります。バッテリーは現行モデルと同じ3.85Vのものが採用される見込みですが、容量や駆動時間がどうなるかは、まだわかっていません。

まとめ
今回明らかになったWF-1000XM6のリーク情報は、単なるマイナーアップデートに留まらない、ソニーの野心的な挑戦を浮き彫りにしています。
Qualcomm aptXという”当たり前”だった選択肢を捨て、自社の誇るAI音質向上技術「DSEE Ultimate」を切り札に据える。この戦略は、ワイヤレスイヤホンの音質の未来が、もはやコーデックの競争だけではなく、デバイス内部の「頭脳」の競争に移り変わっていることを示唆しているかのようです。
もちろん、aptX非対応を残念に思う声もあるでしょう。しかし、もしDSEE Ultimateが私たちの想像を超えるほどの素晴らしい音楽体験を提供してくれるのであれば、それは杞憂に終わるはずです。
丸みを帯びたデザインの継承やアンテナ性能の向上といった細かな進化点も、ユーザー体験を地道に向上させようというソニーの誠実な姿勢を感じさせます。
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