スマートフォンの進化は袋小路に入った、などと誰が言っただろうか。画一的な一枚板のデバイスに誰もが満足していたわけではない。その停滞した空気を切り裂くように現れた「折りたたみスマートフォン」は、私たちにデバイスの「形」が持つ無限の可能性を再び示してくれた。

そして2024年、ファーウェイはその競争に新たな一手、「三つ折り」という概念を市場に投じた。同社初の三つ折りスマートフォン「Huawei Mate XT」は、タブレットに迫る大画面を、これまでの二つ折りよりもさらにコンパクトに持ち運べるという、まさに未来のデバイスの姿を私たちに垣間見せてくれた。
その衝撃から一年も経たないうちに、早くもその後継機に関する熱を帯びたリーク情報が舞い込んできた。信頼できる情報筋からもたらされたその内容は、単なるマイナーチェンジに留まらない、2つの”核心的な進化”を示唆している。
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ファーウェイ次世代三つ折りスマホの噂が再び浮上

今回の情報の火元は、リーク情報に詳しいことで知られる情報筋「Digital Chat Station」です。これまでにも数々の正確な情報をもたらしてきた実績から、今回のリークも信憑性はかなり高いと見ていいでしょう。その情報によると、初代Mate XTの後継機が、2つの主要なアップグレードを伴い、2025年後半に発売されるというのです。
後継機を語る前に、まずは初代「Mate XT」が何であったかを振り返る必要があります。Z字型に折りたたむことで、ポケットサイズから大画面タブレットへと姿を変えるその機構は、多くのガジェットファンを魅了しました。動画鑑賞やマルチタスク作業におけるその優位性は、二つ折りスマホでさえ霞んで見えるほどです。
しかし、初代機である以上、課題も存在しました。最先端のフォームファクターであるがゆえの価格の高さ、そして何より、その複雑な機構を支えるためのプロセッサ性能や、フォームファクターに見合ったカメラ体験の提供など、さらなる進化の余地を残していたのも事実です。後継機は、まさにこれらの課題に対するファーウェイの「答え」となることが期待されています。
アップグレード①:心臓部の大進化、フラッグシップ「Kirin 9020」チップセット搭載へ
リークが示唆する一つ目の、そして最も重要なアップグレードは、デバイスの頭脳であるプロセッサの刷新です。初代Mate XTが搭載していた「Kirin 9010」から、最新フラッグシップである「Kirin 9020」へと換装される可能性が浮上しています。
Kirin 9010からの飛躍:Kirin 9020の性能を紐解く
Kirin 9020は、すでにファーウェイのフラッグシップモデル「Mate 70」シリーズへの搭載実績がある、同社の最高峰チップセットです。7nmプロセスをベースにした12コアプロセッサであり、その性能はKirin 9010を大きく凌駕します。
単にアプリの起動が速くなる、といったレベルの話ではありません。より高度なAI処理、グラフィック性能の向上、そして電力効率の改善など、デバイスのあらゆる体験を根底から引き上げる力を持っています。
処理能力の向上がもたらす「真のマルチタスク体験」
三つ折りスマホの最大の魅力は、広大なディスプレイを活かしたマルチタスク性能です。3つのアプリを同時に表示し、ドラッグ&ドロップでデータをやり取りする。Kirin 9020のパワフルな処理能力は、こうした複雑な操作を、一切の遅延なく、滑らかに実行することを可能にします。
それはもはや「スマートフォンで複数の作業ができる」というレベルではなく、「ポケットの中に高性能なPCを持ち運ぶ」という感覚に近い体験となるでしょう。これこそ、三つ折りというフォームファクターが真価を発揮する瞬間であり、Kirin 9020への換装がもたらす最大の恩恵と言えます。
アップグレード②:謎に包まれた「カメラシステム」の大幅刷新

前作モデルではありますがとりあえず参考動画
リークが示す二つ目のアップグレードは「カメラ」です。情報提供者は「大きなアップグレードが予想される」と述べるに留まり、具体的なスペックは明らかにしていません。しかし、この「謎」こそが、私たちの期待を最大限に膨らませます。
現行モデルのカメラ性能を再評価
初代Mate XTは、50MPのメインセンサー、12MPの超広角、そして12MPのペリスコープ型望遠レンズという、フラッグシップとして十分なトリプルカメラ構成でした。しかし、そのユニークな形状を活かした新しい撮影体験という点では、まだポテンシャルを秘めていたと言えます。
「大幅なアップグレード」から何を期待できるか?
では、「大幅なアップグレード」とは何を指すのでしょうか。考えられるのは、より大型のメインセンサーの搭載による画質向上、ペリスコープ望遠のさらなる高倍率化、あるいは動画性能の抜本的な強化などです。ファーウェイはこれまでもカメラ技術で業界をリードしてきただけに、他社を驚かせるような新技術を投入してくる可能性は十分にあります。
なぜカメラが重要なのか?三つ折りスマホにおける撮影体験の革命
三つ折りスマホは、その形状自体が新しい撮影スタイルを生み出します。本体をL字型に自立させて安定したアングルで撮影したり、広げた大画面をファインダーとして被写体と共有したり。ここに強力なカメラシステムが組み合わされば、これまでのスマートフォンでは不可能だったクリエイティブな表現が次々と生まれるでしょう。ファーウェイがカメラに注力するのは、三つ折りというフォームファクターの価値を最大化するための必然的な選択なのです。
2025年後半、市場はどう動く?次世代三つ折りスマホのインパクト

このファーウェイの次世代機が登場する2025年後半、スマートフォン市場はどのように動くでしょうか。
競合との差別化と、新たな市場の開拓
Samsungなどが二つ折り市場をリードする中で、ファーウェイは「三つ折り」という独自の土俵で勝負を挑んでいます。強力なプロセッサとカメラを搭載したこの後継機は、単なる物珍しさではない、実用性を伴った新たな選択肢として市場に受け入れられる可能性があります。「より大きな画面を、よりコンパクトに」という根源的な欲求に応えるこのデバイスは、新たな顧客層を開拓する起爆剤となるかもしれません。
三つ折りはニッチで終わるか、新たなスタンダードになるか
最終的な問いはこれです。三つ折りは一部のガジェット好きのためのニッチな製品で終わるのか、それとも未来のスマートフォンの新たなスタンダードとなり得るのか。その答えは、このファーウェイの次世代機が、圧倒的な性能と実用性、そして納得感のある価格を両立できるかにかかっています。

まとめ
今回明らかになったファーウェイの次世代三つ折りスマートフォンに関するリーク情報は、単なる新製品の噂に留まりません。それは、同社が「スマートフォンの次なる形」をどう描き、それをいかにして現実のものにしようとしているかを示す、力強い意思表示です。
心臓部となるKirin 9020プロセッサへの刷新は、三つ折りという複雑なフォームファクターに真の生命を吹き込み、そのポテンシャルを完全に解放するための鍵です。そして、謎に包まれたカメラシステムの大幅なアップグレードは、このデバイスが単なる作業ツールではなく、新たな創造性を刺激する表現の道具となることを約束しています。
もちろん、これはまだリークの段階であり、すべてがこの通りに進むとは限りません。しかし、この情報が示す未来の断片に、心が躍るのを抑えることはできません。2025年後半、ファーウェイが再び世界を驚かせるその日を、今は静かに、しかし大きな期待を込めて待ちたいと思いますが、個人的にはHuaweiはあまり好きではありませんから、このお話はこれぐらいで…
