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手に入るか分からない車に、数千万円を差し出す覚悟はあるか。テスラが初公開から約10年の歳月を経て再始動させた第2世代「ロードスター」の予約受付。だがその規約には、ファンすら凍りつかせる「納車は保証しない」という異例の文言が刻まれていた。
目標とする生産開始時期は2028年。仮に実現したとしても、最初の発表から実に11年越しとなる計算だ。提示された規約によれば、支払った大金は確定した製造枠ではなく、単なる「順番待ちの目安」に過ぎない。さらに最終的な価格やスペック、搭載されるハードウェアすら、生産ラインに乗る直前まで変更される可能性がある。
イーロン・マスクCEOは、時速60マイル(約96km/h)までの加速がわずか0.81秒、さらにはロケット推進スラスタの搭載といった規格外の数値をぶち上げる。しかし、かつて「ファウンダーズシリーズ」で最大25万ドルのデポジットを集めながら、市販に至らなかった前例を市場は忘れていない。今回の仕様変更条項は、物理的な限界とコストの壁に対する、周到な免責予防線と受け取るのが自然だ。
リマックが億超えのモンスターEVを現実に走らせ、既存の欧州スーパーカー勢も着実な電動化へ舵を切る今、テスラの立ち位置は危うい。約束された超絶スペックが白紙に戻り、価格が跳ね上がったとしても、法的には異議を申し立てられない契約構造だからだ。
救いがあるとすれば、予約金が全額返金可能であり、かつてのサイバートラックのような転売禁止条項が外された点くらいだろう。もっとも、納車時期の目処すら立たない現状では、転売以前に手元へ届くかどうかが怪しい。
これは量産車の購入手続きというより、テスラが描く未来のビジョンに対する無利子のクラウドファンディングに近い。2028年という遠い約束を信じるか、現実的な競合ハイパーカーに目を向けるか。ファンの熱量と冷静な損得勘定が、いま厳しく試されている。
Source:TheDrive

