電気自動車の性能競争は、ついにタイヤが路面を捉える次元を超えてしまった!!
テスラが公開した新型ロードスターの量産プロトタイプは、宇宙開発企業SpaceXのロケット姿勢制御技術を移植し、文字通り跳躍して障害物を飛び越える姿を披露した。もはや単なるスポーツカーの刷新ではない。航空宇宙と自動車の境界線を破壊し、既存のハイパーカー勢を一瞬で旧世代へと追いやる技術的デモンストレーションだ。
ラインアップは3グレードで構成される。マルチモードファンとアクティブ空力を備えた2人乗りのPerformance、後方に冷ガススラスタを追加したThrust、そして車体全周にスラスタを配して跳躍を可能にした単座仕様のRocketだ。
停止状態から時速60マイル(約96km/h)までの加速タイムは、Performanceの1.6秒ですでに異次元だが、Thrustでは0.9秒、公道走行不可となるRocketに至っては0.59秒に達する。英マクマートリーのSpéirlingが叩き出した記録を0.5秒以上塗り替え、名だたるスーパーカーを完全に置き去りにする異様な瞬発力だ。
この異常な機動性を支える心臓部が、車体下部から強制的に空気を排出するマルチモードファンと、SpaceX直系のコールドガススラスタである。
ファンが生み出す吸引力は約4700kgに達し、計算上はトンネルの天井に張り付いたまま走ることすら可能だ。低速時でも強烈なダウンフォースを路面に押し付け、2Gを超えるコーナリング旋回を可能にする。
さらにThrustとRocketには、炭素繊維被覆圧力容器(COPV)に充填された圧縮空気を噴射するスラスタを搭載。スターリンク衛星の姿勢制御ユニットを応用したシステムであり、後方4基から合計80kN以上の推力を叩き出す。デモ映像では、停止車両の列へ向けて突進した直後、上空へ跳躍して難なくかわしてみせた。テスラが標榜するオートパイロットの緊急回避策としても、これまでにないアプローチを見せつけている。

だが、この圧倒的なパフォーマンスは人間の生理的限界という別の壁に直面する。
Rocketモデル作動時の加速度は最大4.64G。戦闘機のパイロットや過激なローラーコースター並みの負荷がドライバーの肉体にのしかかる。ステアバイワイヤやSpaceXの着陸制御ソフトがどれほど緻密に姿勢を補正しようとも、生身の人間がこのGの中で的確な判断を下せるのかは極めて疑わしい。事実上の無人自動制御、あるいは厳格な身体適性が求められる乗り物になりつつある。
予約金はPerformanceとThrustで5000ドル、10日後に追加支払いが設定されているが、
総額は未公表。Rocketは完全な招待制となり、生産開始は2028年を予定している。
最高速度は時速370キロを超え、イーロン・マスク氏は音速の半分近い時速600キロ弱の可能性すら示唆した。法規制や安全基準という厚い壁を前に、この跳ぶEVが2028年にどこまで原形を留めて世に出てくるか。型破りなアプローチが既存の自動車産業に投じた波紋は、想像以上に大きい。


