Apple初の折りたたみ端末「iPhone Duo」の船出は、近年稀に見る自滅的なスタートとなった。2026年の折りたたみスマートフォン市場で25%のシェアを奪取するという同社の目論見は、製品自体の欠陥ではなく、発売計画そのものの失策によって初日から大きく揺らいでいる。
予約受付が始まった2026年10月16日(金)21:00。Apple Storeアプリは数分間にわたって注文すら受け付けない機能不全に陥った。ようやく画面が切り替わ時点で、10月23日だったはずの納品予定はすでに11月上旬へ後退。その後も遅延の連鎖は止まらず、出荷時期は瞬く間に1月下旬へと吹き飛んだ。
いま予約ボタンを押したところで、36万円もの大金を投じた端末を手にするまで3ヶ月以上待たされる計算だ。
前代未聞の納期遅延を引き起こしたのは、製造ラインの不具合ではない。経営陣が下した配分計画の致命的なミスだ。ブルームバーグのマーク・ガーマン氏が報じた通り、Appleは初期ロットの供給量が極めて限られている事実を事前に把握していた。当初の計画通り、巨大市場であるアメリカと中国の2カ国に供給を集中させていれば、ここまでの混乱は防げたはずだった。
ところが下された決断は、70カ国以上への一斉展開。ごくわずかな在庫を世界中へ薄くバラ撒いた結果、どの市場でも開始数分で在庫が蒸発する最悪のシナリオを招いた。新CEOのジョン・テルナス氏にとって、就任早々の手痛い失点と言わざるを得ない。
テルナス体制下の開発陣は、折り目を自己修復・交換できるナノテクスチャディスプレイ素材を開発するなど、ハードウェアの熟成にじっくりと時間をかけてきた。それだけに、現場の綿密な設計とは裏腹な、販売戦略の拙速さが際立つ。
約36万円を支払った熱心なユーザーが手にする頃には、次世代機となるDuo 2の噂が本格化する秋まで半年余りしか残されていない。高額な初号機としての旬はあまりに短い。かつてティム・クック前CEOが誇った「精密機械のようなサプライチェーン管理」の面影は、そこにはない。
Apple側にも打算はある。手に入らないDuoに失望した層を、店頭在庫が潤沢なiPhone 18 ProやPro Maxへと誘導するシナリオだ。364,800円の価格を目にした後では、通常モデルが半額近くの割安に見える。ホリデーシーズンの売上高を確保しつつ、折りたたみ需要を翌四半期へとスライドさせる思惑が透ける。
しかし、意図せぬ飢餓商法で先行するGalaxyなどの競合からシェアを奪えるほど、現在の折りたたみ市場は甘くない。供給網の混乱を早急に立て直し、約束された革新を滞りなくユーザーの手へ届けられるか。新体制の実行力が今、厳しく問われている。
Source:Bloomberg

