ハイエンドVRの覇権を狙うValveの背中に、Pimaxが強烈なカウンターを打ち込んできた。発表されたのは、非圧縮無線伝送を掲げる新型ヘッドセット「Crystal Pro」と、コンソールサイズに怪物級のパーツを詰め込んだミニPC「Pimax Spation」。
Valveが展開する「Steam Frame」と「Steam Machine」の包囲網を、圧倒的なハードウェアスペックで突破しようとする攻撃的な布陣だ。
まずCrystal Proだが、最大の武器は妥協を排した映像体験にある。片目2,880×2,880ドットを誇るQLEDパネルを備え、120Hz駆動に対応。スタンドアロン駆動もこなすが、真価を発揮するのはやはりPC接続時だ。

注目すべきは、オプションとして用意される第3世代の60G AirLinkキット。2本のルームアンテナを用いた60GHz通信により、ワイヤレスでありながら非圧縮かつネイティブの視線連動描画(フォビエイテッドストリーミング)を実現するという。圧縮ノイズと遅延に悩まされてきたVRヘビー層にとって、まさに待ち望んだ仕様と言える。本体の重量を削るため内蔵バッテリーを廃し、16,000mAhの外部パックを別添えにする割り切りも、極限の装着感を追求する姿勢の表れだ。

競合となるValveのSteam Frameは、256GBモデルが1,059ドル、1TBモデルが1,299ドル。手軽さとSteamエコシステムの連携を売りにする。
対するCrystal Proは、本体のみで1,399ドル、60G AirLink同梱バンドルは1,899ドルと、価格帯は一段上だ。出荷が2027年と先になる点は気がかりだが、比類なき解像感と完全ワイヤレスの両立を渇望する層には、このプレミアムな価格設定も十分な説得力を持つ。
そして、このモンスターヘッドセットの能力を限界まで引き出す相棒が、ミニPCの「Pimax Spation」だ。
リビングに収まるコンパクトな筐体でありながら、中身は完全に最上位のデスクトップPCそのもの。Ryzen 7 9800X3Dに、GPUはRX 9070 XTまたはRTX 5070 Ti、電源には1,000WのSFXユニットを搭載する。Wi-Fi 7やDisplayPort 2.1を惜しみなく備え、将来的なGPUやストレージの増設を可能にするDIYキットまで用意される念の入れようだ。
価格はまだ明かされていないものの、512GBで1,049ドルからのSteam Machineとは目指す地平がまるで異なる。Valveが目指すのが「誰もがリビングでPCゲームを楽しめる標準機」だとすれば、Pimaxが提示したのは「重量級VRを力技でねじ伏せる専用母艦」だ。
Source:Pimax


