辛口批評の嵐を、プレイヤーの熱狂が一撃で薙ぎ払った。9月15日に登場したPS5専用タイトル『Marvel’s Wolverine』を巡り、メディアの冷ややかな採点と、実際にコントローラーを握ったユーザーの熱量との間で強烈なギャップが生じている。
世界中のレビューが集積するMetacriticのスコアは「77点」。開発を手がけたInsomniac Gamesの過去作『Marvel’s Spider-Man』(87点)や『Spider-Man 2』(89点)と比べれば、明らかに伸び悩んだ。オープンワールド特有の探索と多彩なアクティビティを好む批評家にとって、一本道のステージで敵を切り裂き続ける戦闘デザインは「単調なボタン連打」と映った形だ。
だが、PlayStation Storeのレビュー欄を覗くと景色は一変する。購入者によるスコアは驚異の「4.84/5.0」。あのスパイダーマン2の4.72点を凌駕し、同スタジオの作品群でトップのユーザー評価を叩き出している。
プレイヤーが求めていたのは、摩天楼を飛び回る器用さではない。ローガンという男の生々しい怒りと、爪が肉を裂く重厚な手応えそのものだった。寄り道を排した直線的なゲーム進行は、欠点どころか、バイオレンスアクションの純度を極限まで高める舞台装置として機能している。
この熱量はセールスにも直結した。PS Store DBのトラッカーによると、発売翌日の9月16日時点で英国やメキシコでランキング首位を獲得し、米国市場でも2位につけた。スタジオから流出した資料にある「初年度600万本、累計1000万本」というスパイダーマンより控えめな目標に対し、初速としては十分射程圏内に入ったと言っていい。
もちろん、約2万件という評価件数はまだ初動の熱烈なファン層に偏っている側面があり、息の長いセールスを維持できるかは今後のアップデートや口コミ次第だ。
それでも、広大な箱庭に頼らず、骨太なアクションと演出に振り切った体験がこれだけの熱狂を生んだ事実は重い。批評家のスコアと購入者の満足度が乖離するいま、本作が刻んだ爪痕は、大作ゲーム開発の潮流に確かな一石を投じている。
Source:Metacritic

