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中華メーカーのフラッグシップモデルだけが享受していた「カメラキット」の特権がついにiPhoneにも開放される。ドローンやカメラ周辺機器で定評のあるPGYTECHが、Kickstarterで発表した「Retrova」は、単なるグリップではない。光学テレコンバーターとMicroSDスロットを統合し、iPhone 16 Proを「通話もできる専用機」へと変貌させる野心的なシステムだ。
この製品がなぜ今、刺さるのか。それはiPhoneの動画性能、特にProRes撮影のボトルネックを物理的に解消している点にある。
Retrovaの核心は、グリップ底面に配置されたMicroSDカードスロットだ。これまでiPhoneで長時間のProRes撮影を行うには、USB-C端子にSSDをぶら下げるという不格好かつ不安定な運用を強いられてきた。



このキットは312MB/sの書き込み速度に対応し、直結したメモリカードへデータを流し込める。ケーブルの呪縛から解放されるだけで、現場のワークフローは劇的に変わる。
操作系も本格派だ。半押し対応の2段シャッター、ズームロッカー、そして露出やISOを割り当て可能なダイヤルを装備。タッチパネルを弄る頼りない操作感とは決別できる。300mAhのバッテリーを内蔵しているが、これはiPhoneへの給電用ではなく、あくまでグリップ機能の駆動用と割り切った設計も潔い。
さらに興味深いのが、光学性能へのアプローチだ。オールインワンキット(184ドル)に含まれる2.35倍のテレコンバーターを装着すれば、iPhone 16 Proの5倍テトラプリズムレンズが、光学12倍相当(約282mm)の超望遠レンズに化ける。デジタルズームによる画質劣化を避けつつ、野鳥や航空機撮影の領域まで焦点距離を伸ばせる意味は大きい。13枚構成のガラスレンズを採用しており、画質への妥協も見られない。
アプリ側も抜かりがない。レトロなGUIを採用しつつ、マニュアル撮影やフィルターワークに対応。XiaomiやVivoが先行して作り上げた「スマホで撮る楽しさ」を、ハードとソフトの両面からiPhoneへ移植しようという試みだ。
このトレンドは一過性のものではないだろう。Apple自身も将来的に同様のアクセサリを検討しているというリークもあるが、純正品が出れば高額になることは目に見えている。PGYTECHという実績あるメーカーが、ケース交換のみで次期iPhone 18世代への対応まで約束している点は、購入のハードルを大きく下げる。
72ドルからという価格設定は、ジンバルや外部SSDを個別に揃えるコストを考えれば破格だ。発送は4月予定とされているが、クラウドファンディング特有のリスクを差し引いても、モバイルシューターにとって無視できない選択肢が登場した。iPhoneのカメラ性能を持て余していた層にとって、これは単なるアクセサリではなく、撮影スタイルを一変させるトリガーになる。
Source:Kickstarter

