夜、ベッドの中でゲームを終えたあと、そのまま同じ画面で海外ドラマやアニメを流しながら眠りにつく。そんな至福の習慣が、音を立てて崩れようとしています。
私たちはこれまで、Switchを単なるゲーム機としてだけでなく、生活に寄り添うエンターテインメントの窓口として愛してきました。
しかし、2026年2月5日。その窓が一つ、静かに閉じられます。Huluのサービス終了という通知は、単なるアプリの削除以上の意味を持っています。
それは、次世代機である「Switch 2」が、私たちが期待していたような多機能デバイスではない可能性を、残酷なまでに浮き彫りにしたからです。
なぜ任天堂は、便利さを求めるユーザーの声を無視するかのような道を選んだのか。そして、唯一の希望として残されたYouTubeは、本当に私たちの孤独を救ってくれるのか。
Source:任天堂サポート TeamYouTube X
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2026年2月5日に訪れるHulu消滅とディズニー統合の波紋
長年、Switchユーザーの夜を彩ってきたHuluアプリが、ついにその役割を終えます。このニュースを耳にしたとき、筆者の脳裏には、移動中の新幹線やホテルの枕元で、お気に入りのシリーズを追いかけた記憶が蘇りました。
あのコンパクトな画面で視聴する気軽さは、タブレットやスマホとはまた違う「没入感」があったはずです。
この終了の背景には、ストリーミング業界の巨大な再編があります。HuluがDisney+と統合される流れの中で、旧来のプラットフォームが整理されるのは必然とも言えます。
しかし、最大の問題はそこではありません。統合先であるDisney+のアプリが、Switchに投入される気配が微塵もないことです。
かつてのWiiやWii U、そして3DSの時代、任天堂のゲーム機はもっと「メディアハブ」としての野心を持っていました。ニコニコ動画やYouTube、Netflix、さらには日本独自の映像サービスまで、そこには一つの小さな宇宙がありました。
それが今、急速に萎んでいく様子を目の当たりにすると、言いようのない寂しさを感じずにはいられません。

下位互換性の嘘。Switch 2が切り捨てたエンタメの遺産
多くのユーザーがSwitch 2に期待していたのは、現行機で買ったゲームが動くだけでなく、使っていたアプリもそのまま移行できることでした。
しかし、現実は非情です。関係者の証言によれば、Switch 2の下位互換性は「ゲームソフト」に限定されており、ストリーミングアプリの互換性は保証されていません。
現在、Switchで生き残っている数少ない砦、Crunchyroll(クランチロール)についても、Switch 2への移行は不透明なままです。この状況を、主要なハードウェアとの比較表で見ると、任天堂の「特異な姿勢」がより鮮明になります。
主要ゲームハードのストリーミング対応状況比較
| デバイス名 | 対応ストリーミングサービス | 4K / HDR対応 | 汎用性 |
| PlayStation 5 | ほぼ全て(Netflix, Disney+, YT等) | 対応 | 非常に高い |
| Xbox Series X/S | ほぼ全て | 対応 | 非常に高い |
| Nintendo Switch | YouTube, Crunchyroll(Hulu終了) | 非対応 | 低い |
| Switch 2 (予測) | YouTube (検証中), その他未定 | 未知数 | 極めて不透明 |
この表を見れば分かる通り、ライバル機が「リビングの主役」を狙って進化を続ける中、任天堂だけが逆行しているようにも見えます。スマホやタブレットがあるからゲーム機に動画機能は不要だ。そんな正論も聞こえてきそうですが、果たして本当にそうでしょうか。
実際に手に取って遊んでいる最中、別のデバイスに持ち替えるという行為は、私たちが想像する以上に心理的なハードルが高いものです。Switch 2がこのまま「ゲームしかできない箱」になってしまうとしたら、それは現代のライフスタイルにおいて、ある種のリスクを孕んでいると言わざるを得ません。
暗闇に射す一筋の光。YouTube公式アプリが任天堂の門を叩く

唯一の、そして最大の救いとなるのがYouTubeの動向です。Googleは、Switch 2という巨大な市場を見捨ててはいませんでした。RedditのユーザーがYouTubeサポートから引き出した情報によれば、アプリの開発自体はすでに完了しており、現在は任天堂側による「検証プロセス」の段階にあるといいます。
これは、Switch 2の発売後、比較的早い段階でYouTubeが視聴可能になることを示唆しています。Googleにとって、ゲーム実況という巨大なコンテンツを抱えるプラットフォームとして、任天堂ユーザーを囲い込んでおくことは死活問題だからです。
しかし、ここでも一つの懸念が頭をよぎります。それは「いつもの任天堂の慎重さ」です。アプリの動作によって本体のセキュリティが脅かされないか、メモリの管理に影響が出ないか。そうした厳格すぎる審査のせいで、リリースが数ヶ月単位で遅れる可能性は否定できません。

