Huaweiは、中国国内で新型タブレット「MatePad 11.5 (2026)」を正式に発売しました。
つい数ヶ月前に2025年モデルが出たばかりだというのに、もう次世代の足音が聞こえてきました。Huaweiが中国で発表した最新モデル、MatePad 11.5 (2026)の話題です。
2025年の足跡がまだ消えないうちに2026年モデルを名乗るその姿勢。まるで未来を先取りしすぎたタイムトラベラーのような製品ですが、中身を見てみると、私たちの日常をじわじわと侵食してくるような、非常に現実的で「ニッチな不満」を解消するアップデートが施されています。

まさかの10,000mAh超え。バッテリーの常識が変わる瞬間
今回のアップデートで最も目を引くのは、なんといっても10,100mAhという巨大なバッテリー容量です。
一般的な11インチクラスのタブレットといえば、だいたい7,000〜8,000mAh程度が相場。そこにきての大台突破です。これは、単に「長く使える」というスペック上の数字以上の意味を持っています。
例えば、週末の旅行に充電器を持たずに出かけられるか、あるいは一日中ビデオ会議をハシゴしても心の余裕を保てるか、という「精神的な自由」に直結するからです。
ただ、ここで一つ冷静に考えてしまうのが、40Wという充電速度とのバランスです。10,100mAhという広大なタンクに、40Wの蛇口で水を注ぐ感覚。
正直に言えば、フル充電にはそれなりの時間を要するでしょう。寝ている間に育てるような感覚で付き合うのが、このデバイスとの正しい距離感かもしれません。

スタンダードWi-Fiモデル
「まずは最新モデルを試したい」という方におすすめの標準構成。
- 8GB + 128GB:1,799元(約255ドル)
ソフトライトエディション(低反射モデル)
「読書や手書きメモが中心」という方のための目に優しい特別仕様。
- 8GB + 128GB:2,099元(約295ドル)
- 8GB + 256GB:2,299元(約325ドル)
- 12GB + 256GB:2,799元(約395ドル)
二つのKirin、そしてソフトライトの誘惑
デザインこそ前モデルを踏襲していますが、心臓部には新しいチップセット、Kirin T82(ソフトライトモデル)とKirin T82B(通常モデル)が採用されました。
ここで気になるのが「なぜ二種類あるのか」という点です。今回のMatePadは、画面の質感によってチップを使い分けています。紙のような質感を追求したソフトライトモデルは、読書や書き物を好む層に向けた、より「文化的」な選択肢と言えるでしょう。
120Hzのリフレッシュレートは、ブラウジングの際のスクロールを驚くほど滑らかにします。一度この滑らかさに慣れてしまうと、従来の60Hzの画面がまるでカクカクとした古いフィルム映像のように見えてしまうから不思議です。
人間の目は、一度贅沢を知ると戻れない。その変化の知覚こそが、新しいガジェットを手にする醍醐味でもあります。


HarmonyOS 5.1がもたらすAIとの共生
ソフトウェア面では、最新のHarmonyOS 5.1が搭載されました。ここで注目したいのは、Huaweiが推し進めるAI Health Learning 2システムです。
タブレットはもはや、単なる動画鑑賞機でも、仕事道具でもありません。私たちの健康や学習の癖を、AIがそっと見守ってくれるパートナーへと進化しようとしています。
多くのユーザーが抱える「タブレットを使っているとつい姿勢が悪くなる」「目が疲れる」といった、小さくも根深い不安。今回の新OSは、そうしたニッチな悩みにAIという光を当てようとしています。
あとがき
今回のMatePad 11.5 (2026)の登場は、私たちに「進化のスピード」というものを再認識させました。2025年モデルを買ったばかりの人にとっては、少し複雑な気持ちになるかもしれません。
しかし、スペックを細かく見ていくと、これは「劇的な変革」ではなく「完成度の極致」を目指したモデルであることが分かります。バッテリー容量の増強、洗練されたOS、そして選びやすくなった価格設定。
1,799元(約3.8万円〜)という価格を聞くと、円安に悩む私たちの耳には、かつてのコスパ王者の帰還のようにすら聞こえます。

