ついに、というべきか、やはり、というべきか。ポータブルゲーミングPC市場の勢力図を塗り替えるニュースが飛び込んできました。
これまで「ハイスペックだけど、ちょっと手が出しにくい……」という印象が強かったLenovoのLegion Goシリーズ。その次世代機である「Legion Go 2」が、2026年1月のCESでベールを脱ぐという噂が現実味を帯びています。
しかも今回は、単なるスペックアップに留まりません。多くのユーザーが抱えていた「Windows特有の使いにくさ」と「高価格」という二つの大きな壁を壊しにかかっています。
ガジェット好きとしては、新しいチップが出るたびに胸が高鳴るものですが、冷静に財布と相談する時間も必要です。今回の刷新が、単なる「型落ち防止」なのか、それとも「真のゲーム体験の進化」なのか。その中身を紐解いていきましょう。
Exclusive: Lenovo Legion Go 2 gets SteamOS with Ryzen Z2 Extreme for those who hate Windows 11
— Windows Latest (@WindowsLatest) December 18, 2025
– SteamOS
– Ryzen Z2 Extreme processor
– 32 GB LPDDR5X RAM, 2 TB PCIe SSD
– 8.8-inch PureSight OLED display.
This device originally shipped with Windows 11, but it’s now getting a… pic.twitter.com/gt1SwPwSkN
Source:Windows Latest
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設計思想から見る「Windowsの呪縛」からの解放
ポータブル機を扱う上で、最もストレスが溜まるのは「ゲームを始めるまでの工程」です。これまでのWindows搭載機は、いわば「小さなPC」でした。起動して、アップデートを待ち、マウスカーソルをスティックで器用に動かして……。この体験は、開発者の視点で見れば、汎用性を重視した代償としての「摩擦」です。
今回のLegion Go 2で注目すべきは、SteamOS搭載モデルの存在です。
ハードウェアとソフトウェアが密結合されることで、OSという抽象レイヤーがユーザーの視界から消えます。これは、単に「Steamがすぐ開く」というレベルの話ではありません。
スリープからの復帰の安定性や、バックグラウンドでのリソース管理が最適化されることを意味します。Windows特有の「不意な通知」や「意図しないバックグラウンド更新」に邪魔されない環境は、没入感を最優先する設計思想への転換と言えるでしょう。


Legion Go Gen 2 (SteamOSモデル) 詳細スペック表
| 項目 | 仕様詳細 |
| 製品名 | SteamOS搭載 Legion Go (8.8インチ) |
| OS | SteamOS |
| プロセッサ | 最大 AMD Ryzen™ Z2 Extreme |
| メモリ | 最大 32GB LPDDR5X (8000MHz) |
| ストレージ | 最大 2TB M.2 2242 PCIe SSD (Gen4) |
| ディスプレイ | 8.8インチ OLED (有機EL) |
| 解像度 / 比率 | WUXGA (1920×1200) / 16:10 |
| リフレッシュレート | 144Hz |
| 輝度 / 色域 | 500ニット / DCI-P3 100% |
| バッテリー容量 | 74Whr |
| 重量 | 約920g (本体 + コントローラー) |
| サイズ | 295.6 × 136.7 × 42.25 mm (結合時) |
| 操作系 | ホール効果ジョイスティック、トラックパッド、トリガースイッチ |
| ポート | USB Type-C (USB 4.0/DP 1.4/PD 3.0) ×2、microSDスロット、3.5mmジャック |
| 通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
| カラー | エクリプスブラック |
このスペックを見る限り、単なる廉価版というよりは「Windowsの制約を外して、ハードウェアの限界に挑んだゲーム特化マシン」という印象が強いですね。
市場競争力と「価格の壁」をどう突破するか
市場を見渡すと、現行のハイエンドモデルが1,000ドルを超えるのは珍しくありません。しかし、コンシューマー市場において、この価格帯は「熱狂的なファン」以外を切り捨てる境界線でもあります。
今回のリークで最も興味深いのは、SteamOS版をWindows版よりも安価に設定するという戦略です。これは単にライセンス料を削っただけではありません。ユーザーを特定のプラットフォーム(Steam)に誘導することで、ハードウェア単体での利益率に依存しすぎないビジネスモデルへのシフトを感じさせます。
「Ryzen Z2 Extreme」という最高峰の心臓部を持ちながら、価格を抑えたモデルを投入する背景には、ValveのSteam Deckが証明した「手の届くプレミアム」という市場を、Lenovoが本気で奪いに来たという意志が見て取れます。
32GB RAMという贅沢な仕様も、単なる数字の誇示ではなく、今後数年のゲームの肥大化を見越した「長く使える安心感」を売るための戦略的な配置でしょう。

スペックよりも大切な「あなたの不安」を解消する
新しいデバイスを検討する際、スペック表よりも気になるのは「買った後に後悔しないか」という点ではないでしょうか。
- 「重すぎて持たなくなるのでは?」という不安
8.8インチのOLEDディスプレイは、確かに視覚体験としては最高です。しかし、物理的な重量は変わりません。ただ、今回のリフレッシュではバッテリー効率の改善が期待されています。
74Whという大容量を「重さ」と捉えるか、「外でACアダプターを探し回らなくて済む自由」と捉えるか。この視点の変化が、満足度を左右します。 - 「すぐに新型が出て古くなるのでは?」という不安
Z2 Extremeと32GBメモリの組み合わせは、少なくとも現在のAAAタイトルを動かすには十分すぎる「貯金」です。
むしろ、ソフトウェア側(OS)の最適化が進むSteamOS版を選ぶことで、ハードウェアの寿命をソフトウェアが引き延ばしてくれるという、従来のPCにはなかった恩恵を受けられるはずです。 - 「Windowsじゃなくて大丈夫?」という不安
仕事でも使いたい、という方はWindows版一択です。しかし、もしあなたが「寝転がって、すぐにゲームの世界に浸りたい」と考えているなら、SteamOSは救世主になります。
まとめ
今回のLegion Go 2に関するリークを整理していて感じたのは、メーカー側の「ユーザーへの歩み寄り」です。これまでは「最高のパーツを詰め込んだから、高くても買ってくれ」という、ある種の傲慢さが見え隠れする製品が多かったように思います。
しかし、SteamOSの採用や価格設定の柔軟さは、ユーザーが「本当に欲しかったのは、最新のパーツが載ったPCではなく、最高の体験ができるゲーム機である」という事実にメーカーが気づき始めた証拠でしょう。

