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「圏外」という言葉が死語になる未来が近づいている。イーロン・マスク氏率いるスペースXが、衛星通信網「スターリンク」に直接接続可能なスマートフォンを独自開発していると報じられた。
これが実現すれば、単なる新機種の登場ではなく、国境や通信キャリアという既存の枠組みを根底から覆すゲームチェンジャーとなる。
ロイター通信が複数の関係筋から得た情報によると、この端末は地上の基地局を経由せず、宇宙空間の衛星と直接データをやり取りする。すでに同社はT-Mobileとの提携で、iPhoneを用いた衛星経由のテキスト送信テストを実施しているが、自社製ハードウェアの開発はその延長線上にある「本丸」の計画だ。

特異なのは、単に「どこでも繋がる」だけではない点にある。マスク氏が既存の携帯電話とは一線を画すと豪語するように、AIモデルを端末内(ローカル)で処理能力を最大化するよう、ゼロから設計されるという。通信遅延が避けられない衛星通信において、クラウドに依存せず高度な処理を端末側で完結させるアプローチは合理的かつ戦略的だ。
スペースXにとって、スターリンク事業はすでに収益の8割近くを支える屋台骨。ここに専用端末を投入し、世界中どこでも定額で使える「単一プラン」を打ち出せば、そのインパクトは計り知れない。
確かにeSIMの普及で海外通信のコストは下がったが、国ごとに契約を切り替えたり、海外用テザリングモデムなどをレンタルする必要もないので、その快適さは何物にも代えがたい価値になる。
成功の鍵を握るのは、やはり価格設定と端末のサイズ感だろう。衛星アンテナを内蔵しつつ、日常使いに耐えるデザインと現実的な価格を実現できるか。もしこのハードルを越えれば、通信業界は「ローミング収益の喪失」という悪夢に直面することになる。空を見上げるだけで世界と繋がる時代の到来は、そう遠くない。
Source:Reuters

