スマートフォンの進化はもう頭打ちだ、なんて誰が言ったのでしょうか。
毎年発売される新型スマホを見て、「カメラが少し良くなっただけ」「処理速度が少し上がっただけ」と、どこか冷めた目で見てしまう自分がいました。しかし、今回OnePlusが中国で発表した「Ace 6T」のスペックシートを見た瞬間、その退屈な予測は心地よく裏切られました。
何が異常かって? バッテリー容量です。
なんと8,000mAhです。モバイルバッテリーの間違いではありません。これは、私たちがこれまで「スマホの常識」として受け入れてきた「一日一回の充電」というルーティンを、過去のものにする可能性を秘めています。
このAce 6Tは、グローバル市場(そして私たちが輸入などで手にする市場)では「OnePlus 15R」として登場する予定のモデルです。つまり、これは遠い国の話ではなく、まもなく私たちが体験することになる未来の予告編なのです。
今回は、ただのスペック解説ではなく、この「規格外のスタミナお化け」が私たちの生活をどう変えるのか、その詳細を深掘りしていきます。
Source:OnePlus
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Snapdragon 8 Gen 5を初搭載した「羊の皮を被った狼」
まず心臓部から見ていきましょう。Ace 6Tは、Qualcommの最新チップセット「Snapdragon 8 Gen 5」を搭載した最初のスマートフォンの一つとなりました。
ここで少し混乱するかもしれません。「あれ、Eliteじゃないの?」と。
実はここがミソです。最上位の「Elite」はフラッグシップ中のフラッグシップに譲り、この「Gen 5」はコストパフォーマンスと性能のバランスを極限まで高めた、いわば「実用重視の最高峰」という位置づけです。
とはいえ、性能は折り紙付きです。日常のブラウジングから重たい3Dゲームまで、カクつきを感じることはほぼないでしょう。むしろ、これだけのハイエンドチップを積みながら、後述する冷却システムやバッテリーと組み合わせることで、「長時間プレイしても熱くならず、電池も減らない」という、ゲーマーが夢見た環境が完成します。

8,000mAhバッテリーが解決する現代人の「充電不安」
今回の最大の目玉であり、最も議論を呼ぶであろうポイントがこれです。
一般的なハイエンドスマホのバッテリーは5,000mAh前後。最近少し増えて6,000mAhが出始めましたが、Ace 6Tはいきなり8,000mAhという数字を叩き出してきました。
これは何を意味するのでしょうか。
例えば、朝起きて充電を忘れていたことに気づいても、残量が30%あればその日一日は余裕で持つかもしれません。あるいは、週末のキャンプや旅行に、充電器を持たずに出かけられるかもしれません。
「でも、充電に時間がかかるんでしょ?」
という疑問への対策も万全です。100Wの有線急速充電に対応しているため、この巨大なタンクを短時間で満タンにできます。大容量と急速充電の組み合わせは、スマホの利便性を根本から変える力を持っています。

ゲーマー歓喜の165Hzディスプレイと「防水の極み」
ディスプレイにも妥協はありません。6.7インチのフラットOLEDディスプレイは、解像度が1.5K(2780 x 1264)と高精細。そして特筆すべきはリフレッシュレートが165Hzであることです。
一般的な「滑らか」とされるスマホが120Hzですから、それを上回るヌルヌル感。FPSなどの競技性の高いゲームをする人にとって、この差は勝敗を分ける重要なスペックになります。
さらに驚いたのが防水性能です。IP68だけでなく、IP69、IP69Kという規格にも対応しています。
IP69Kとは:高温・高圧の水流に対する保護等級です。

つまり、これまでの防水スマホが苦手としていた「お湯」や「勢いのある水流」に対しても強い耐性を持っているということです。もちろんお風呂での使用をメーカーが推奨するわけではありませんが、うっかりシャワーがかかったり、キッチンで洗い物をしながら水がかかったりしても、故障のリスクが極めて低いというのは大きな安心感です。
カメラ性能とデザインの洗練 カメラは50MPのメインと8MPの超広角という構成。32MPのセルフィーカメラも搭載しています。ここに関しては「必要十分」という印象ですが、OnePlusらしい自然な色作りが期待できます。
デザインは兄貴分であるOnePlus 15を踏襲し、マイクロアーク酸化仕上げのメタルフレームを採用。カラーはブラック、グリーン、パープルの3色展開です。
8,000mAhものバッテリーを積んでいるにもかかわらず、野暮ったさを感じさせないデザインに仕上げてくるあたり、OnePlusの意地を感じます。

