「タブレットなんて、動画が見られればそれでいい」
そう思っていた時期が、私にもありました。安価なAndroidタブレットといえば、カクつく画面に我慢しながらYouTubeを流し見するための「妥協の産物」というイメージがこびりついている人も多いのではないでしょうか。
しかし、Alldocubeがブラックフライデーに合わせて投入してきた新型機「iPlay 70 Max Pro」のスペックシートを見た瞬間、その固定観念が少し揺らぎました。13インチというノートPC並みの巨大画面、聞いたこともないが数字だけは優秀なチップセット、そしてタブレットの常識を疑う「8スピーカー」搭載。
これだけの装備を詰め込んで、価格はまさかの2万円台(ブラックフライデー価格)。これは単なる「安物」の更新ではなく、エントリークラスのタブレット市場における「ルールの書き換え」を画策しているようにも見えます。
今回は、そんな謎多き巨人「Alldocube iPlay 70 Max Pro」が、私たちのデジタルライフをどう変えてしまうのか、その詳細を紐解いていきます。
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Unisoc S715とは?「安かろう悪かろう」を裏切る意外な心臓部
中華タブレットに詳しい方なら、「Unisoc」という名前を聞いただけで「ああ、いつものエントリー向けね」と鼻で笑うかもしれません。T606やT616といったチップは、確かに安価ですが、重いゲームやマルチタスクには不向きでした。
しかし、今回搭載されているのは「Unisoc S715」です。
この聞き慣れないチップセット、実はかなりの実力者である可能性が高いのです。メーカー公称のAnTuTuベンチマークスコアは約65万点。この数字がどれほどのものかというと、XiaomiのRedmi Note 12 Proなどが搭載する「Dimensity 1080」とほぼ同等の水準です。
これまでの格安タブレットが「もっさり」していた領域を抜け出し、普段使いではほとんどストレスを感じないレベルに到達しています。6nmプロセスで製造されているため、電力効率も悪くありません。
「安いタブレットは遅い」という私たちの予測とのズレが、このデバイスの最大の面白さです。

13インチの大画面と「8スピーカー」がもたらす没入感の正体
iPlay 70 Max Proの最大の特徴は、なんといってもそのサイズ感です。13インチというサイズは、もはやiPad ProやノートPCの領域。1600×2560の高解像度IPSスクリーンは、電子書籍の見開き表示や、複数のアプリを同時に開くマルチタスクで真価を発揮します。
そして、スペック表を見て二度見したのが「8スピーカー」という記述です。
通常のタブレットは2つ、良くても4つのスピーカーが関の山です。それが8つ。これは明らかに、このデバイスを「持ち運べる映画館」にしようというAlldocubeの執念を感じます。Widevine L1もしっかりサポートしているため、NetflixやAmazonプライムビデオも高画質で再生可能です。
音に包まれる感覚は、小さなスマホや一般的なタブレットでは決して味わえない体験でしょう。

バッテリーは驚異の10000mAh、しかも「配る」ことができる
大画面と高性能チップを支えるのは、10000mAhというモバイルバッテリー顔負けの大容量バッテリーです。33Wの急速充電に対応しているため、リカバリーも比較的スムーズ。
さらに面白いのが「OTG逆給電機能」です。このタブレット自体が巨大なモバイルバッテリーとなり、手持ちのスマホやワイヤレスイヤホンを充電できてしまいます。
「カフェで作業しようと思ったらスマホの充電がない」という現代人の抱える課題を、まさかタブレットが解決策として機能するとは。この自己犠牲的な機能は、荷物を減らしたいノマドワーカーにとって地味ながら強力なメリットになります。

スペック詳細一覧
ここで、iPlay 70 Max Proの基本スペックを整理しておきましょう。数字を見れば見るほど、この価格帯の製品とは思えない構成であることがわかります。
| 項目 | スペック詳細 |
| 製品名 | Alldocube iPlay 70 Max Pro |
| SoC (CPU) | Unisoc S715 (6nmプロセス, 8コア) |
| GPU | ARM G57 MC2 @950MHz |
| AnTuTuスコア | 約650,000点 |
| ディスプレイ | 13インチ IPS (1600×2560), 500nit, 232PPI |
| メモリ (RAM) | 8GB (仮想拡張で最大16GB) |
| ストレージ (ROM) | 128GB (UFS 2.2) |
| 外部ストレージ | microSD対応 (最大1TBまで拡張可能) |
| バッテリー | 10000mAh / 33W PD急速充電 / OTG逆給電対応 |
| スピーカー | 8スピーカー (立体音響対応) |
| カメラ | フロント: 8MP / リア: 13MP |
| 通信 (SIM) | 5G対応 (デュアルSIMスタンバイ) |
| 対応バンド (5G) | n1/3/5/7/8/20/28AB/38/41/77/78 |
| Wi-Fi / BT | Wi-Fi 5 / Bluetooth 5.0 |
| OS | Android 15 (ALLDOCUBE OS 4.0L) |
| サイズ / 重量 | 298.4 × 193.4 × 7.1mm / 約684g |
| その他機能 | PCモード、Widevine L1 (Netflix対応)、GPS搭載 |
特筆すべきは、最新のAndroid 15を搭載している点と、5G通信に対応している点です。Wi-Fiモデルが多いこのクラスにおいて、SIMカードを挿してどこでも通信できるというのは、大きなアドバンテージです。

PCモードとキーボードで「仕事道具」に化けるか?
Android 15をベースにした「ALLDOCUBE OS 4.0L」には、PCモードが搭載されています。別売りのキーボードやUSI 2.0対応のスタイラスペンを組み合わせれば、ウィンドウ表示での作業が可能になり、簡易的なノートPCとして振る舞うことができます。
もちろん、Windows PCと全く同じことができるわけではありません。しかし、メール返信、ドキュメント作成、Webブラウジングといった軽作業であれば、この13インチの画面とPCモードで十分「仕事」になります。
「PCを持ち歩くほどではないけれど、スマホでは画面が小さすぎる」という絶妙な隙間時間を埋めるツールとして、これ以上の選択肢を見つけるのは難しいかもしれません。

