Xiaomiが2025年10月に「Redmi K90」と「K90 Pro Max」を世に送り出したとき、多くのガジェットファンは「これで今年のラインナップは完成だ」と満足して頷いたはずです。しかし、その予測は良い意味で裏切られることになりそうです。
水面下ではまだ、語られていない物語が続いていました。そう、Redmi K90 ProとRedmi K90 Ultraの存在です。
すでに「終わった」と思われていたK90シリーズに、なぜ今、新たなピースが加わろうとしているのでしょうか?しかも、聞こえてくるのは「これまでの常識を覆すようなスペック変更」の噂ばかり。
今回は、Weiboの著名リーカーたちの証言を元に、この未発表モデルたちが何を企んでいるのか、その全貌に迫ります。

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6.6インチの哲学!変わらないことが意味するもの
情報の初出は、Weiboで高い信頼度を誇るSmart Pikachu氏からのリークでした。彼がもたらした情報は、ある意味で「拍子抜け」するほど現実的なものでした。
現在テストされているプロトタイプのディスプレイサイズは6.6インチ。
これは、前モデルであるRedmi K80 Pro(6.67インチ)とほぼ変わらないフォームファクターを維持していることを意味します。画面の大型化競争が一段落し、持ちやすさと視認性のバランスが最適化された結果、このサイズが「正解」として定着しつつあるのかもしれません。
しかし、外見が変わらないからといって、中身も同じだと判断するのは早計です。むしろ、外見を変えないことで、内部の劇的な変化を目立たせようとしているフシすらあります。

「脱スナドラ」Dimensity 9500を選ぶ理由とは
ここからが本題です。そして、もっとも議論を呼ぶポイントでもあります。
これまでのRedmi KシリーズのProモデルといえば、Qualcomm製の最新Snapdragon(スナドラ)を搭載するのが「お約束」でした。Redmi K80 ProもSnapdragon 8 Eliteを搭載し、その圧倒的なパフォーマンスでファンを唸らせたものです。
しかし、今回のリーク情報は、その既定路線を真っ向から否定しています。
初期の報道によると、XiaomiはQualcommの8 Elite Gen 5ではなく、DimensityのフラッグシップSoCを採用する可能性がある
具体的には、Redmi K90 Proには「Dimensity 9500」、そして**K90 Ultraには「Dimensity 9500+」**が搭載されるというのです。

なぜXiaomiはMediaTekに舵を切るのか?
これにはいくつかの「大人の事情」と「技術的な自信」が見え隠れします。
- コストパフォーマンスの限界突破
Snapdragonシリーズの価格高騰は、スマホメーカーにとって頭の痛い問題です。Redmiというブランドが掲げる「コスパ最強」の看板を守るためには、性能が飛躍的に向上しているMediaTekのDimensityシリーズへの移行は、ある意味で必然の選択だったのかもしれません。 - Dimensityの進化
かつては「安かろう悪かろう」と言われた時期もありましたが、それは過去の話。近年のフラッグシップDimensityは、処理能力でも省電力性でもSnapdragonと互角、あるいはそれ以上のスコアを叩き出すことがあります。
もしこの情報が真実なら、K90 Proは「ハイエンド=スナドラ」という固定観念に対する、Xiaomiからのアンチテーゼとなるでしょう。
発売日はいつ?2025年末の駆け込みか、2026年の幕開けか
気になるのは、私たちがいつこの端末を手にできるのか、という点です。
Xiaomiには「2025年末までにどちらかを発売する」という噂があります。すでに10月にK90無印などをリリースしていることを考えると、スケジュールの過密さは否めません。
- シナリオA(年内発売): 12月までに中国国内で電撃発表。年末商戦にぶつけてくるパターン。
- シナリオB(越年発売): 開発期間を確保し、2026年初頭にリリース。
さらに、K90 Ultraに搭載されるとされる「Dimensity 9500+」に関しては、MediaTekがPlus版チップを発表する通例のスケジュールを考慮すると、2026年半ばまでずれ込む可能性が高いと見られています。
つまり、K90 Proが先陣を切り、半年遅れて真のモンスターであるK90 Ultraが登場する。この「二段構え」の戦略が濃厚です。

スペック競争の「その先」へ
今回のリーク情報を見て私が感じたのは、Xiaomiが「単なるスペック番長」からの脱皮を図っているのではないか、という予感です。
これまでは「最新のスナドラを載せておけば売れる」という分かりやすい図式がありました。しかし、あえてそこから外れ、Dimensity 9500を採用するという選択は、ユーザーに対して「ブランド名ではなく、実際の体験(パフォーマンスと価格のバランス)を見てほしい」というメッセージのように聞こえます。
もちろん、スナドラ信奉者からは不満の声が上がるでしょう。「8 Elite Gen 5じゃないのかよ」と。しかし、その予測とのズレこそが、技術の停滞を打破するきっかけになることもあります。
2025年の終わりに、あるいは2026年の始まりに、Redmi K90 Proがどのような評価を受けるのか。それは単なるスマートフォンの発売以上に、モバイルプロセッサ市場の勢力図を占う試金石になるはずです。

