2025年11月12日。PlayStation 5が世に出てから、丸5年が経過しました。 思えば長い道のりでした。世界中を巻き込んだパンデミック、深刻な半導体不足、そして転売ヤーとの終わらない戦い。あの頃、定価で本体を見つけることは、ゲームのレアアイテムドロップより難しかった。
そんな激動の5年を経て、ソニーが我々日本のファンに贈る「5周年記念モデル」の報せが届きました。
「PlayStation 5 デジタル・エディション 日本語版」。 価格は、55,000円。
……ん? デジタル・エディション? しかも「日本語版」? 我々が漠然と夢見ていた「限定カラー」でもなければ、「Proモデル」の電撃発表でもない。一見すると地味な、しかし妙に“引っかかる”この一台。
55,000円、ゴーゴー。この軽快な語呂合わせの裏に隠されたソニーの真意を、我々は今、冷静に見極める必要があるのかもしれません。
Source:プレイステーション公式
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今回発表された「PS5 デジタル・エディション 日本語版(CFI-2200B01)」は、その名の通り、徹底的に日本市場に“最適化”されたモデルです。
55,000円(ゴーゴー)という名の「戦略」
まず注目すべきは、55,000円という価格です。 「5」周年と「5」万「5」千円。これ以上ないほどの「ゴーゴー」アピール。ソニーがこの語呂合わせに強いメッセージを込めていることは明らかです。
「Go!Go!PS5」記念キャンペーンと銘打ち、既存の日本PSNアカウント所有者には10%オフクーポンまで配布する念の入れよう。
奇しくも、米国市場では最近の関税引き上げの影響でPS5(デジタル版)が値上げされたばかり。その逆風の中、日本市場にだけ「ゴーゴー」と声援を送るかのようなこの価格設定。
これは素直に「日本市場を特別扱いしてくれている」と喜ぶべきなのでしょうか。っていうか、今更ですけどね…発売当初は中国とか海外優先してましたから…そのおかげで価格が高騰して、転売ヤーの増加に一役かった時を私は忘れない。

改良点は「マット仕上げ」と「徹底した鎖国仕様」
この日本語版、ベースとなっているのは現行の薄型モデル(CFI-2000系)です。 サイズは 358×80×216mm、重量2.5kgと、初期型を知る者からすれば驚異的なコンパクトさを実現しています。
外観上の唯一とも言える改良点は「マットな質感の筐体に若干の改良」が施されたこと。指紋や傷が目立ちにくくなるのであれば、これは純粋に歓迎すべき点でしょう。
問題は、その中身です。
- システム言語: 日本語のみ
- 設定可能な国・地域: 日本のみ
- オンライン購入: 日本のPlayStation Storeからのみ
……これを見て、あなたはどう感じますか? 「どうせ日本語しか使わないし、日本でしかゲーム買わないから問題ない」 そうでしょうか。
この仕様は、日本に住む外国人ゲーマーを完全に排除しています。また、海外のストア(北米PSNなど)でしか販売されていないインディーゲームや、規制の異なる海外版タイトルを求めてきた“旅人”たちにとっても、このモデルは「買ってはいけない」選択肢となります。
グローバル化が進むこの時代に、あえて「日本専用機」という“ガラパゴス”なハードを、5周年の節目に投下してきたのです。
🎮 PlayStation 5 デジタル・エディション 日本語専用 – 製品情報

| 項目 | 内容 |
| 商品名 | PlayStation 5 デジタル・エディション 日本語専用 Console Language: Japanese only |
| 品番 | CFI-2200B01 |
| 発売日 | 2025年11月21日 |
| 希望小売価格 | 55,000円(税込) |
| ストレージ | 825GB SSD |
| プリインストールゲーム | ASTRO’s PLAYROOM |
幸いなことに、このモデルは「PS5 CFI-2000モデルのアクセサリと互換性があります」。 つまり、あの外付けディスクドライブも後付けできる、ということです。
デジタル・エディションとして買い、もしパッケージ版が遊びたくなったり、中古ソフトでコストを抑えたくなったりすれば、後からドライブを追加できる。この「逃げ道」が用意されている点は、ソニーの最後の良心と言えるかもしれません。
我々は「特別扱い」されたのか、それとも「隔離」されたのか
PlayStation 5、5周年。 ソニーが用意した答えは、「日本だけで使える、ちょっと安いデジタル版」でした。
これを「日本市場を重視した、ソニーからの熱い“ゴーゴー”コールだ」と受け取ることもできるでしょう。10%オフクーポンを握りしめ、この戦略的な価格に感謝することもできるはずです。
しかし、私の目には、この「日本語版」という響きが、まるで世界市場という本流から切り離され、「日本」という枠に閉じ込められたかのような、奇妙な寂しさを映し出します。
我々日本のゲーマーは、本当にこの「特別扱い」を望んでいたのでしょうか。
55,000円という価格は、ソニーから我々への「踏み絵」なのかもしれません。あなたは「安さ」と「利便性(後付けドライブ可)」を取り、この“鎖国”を受け入れますか? それとも、グローバルなゲーム体験という「自由」を求め、通常版(あるいは世界)を選びますか?
「Astro’s Playroom」がプリインストールされたこの真っ白な箱は、5周年を迎えた日本のゲーム市場の「今」を、皮肉なまでに象徴しているように思えてなりません。

