OnePlusの製品戦略が、ここにきて少々「ややこしい」事態を招いています。2025年5月に中国で「OnePlus Pad 2 Pro」(グローバル市場ではOnePlus Pad 3として展開)というハイエンドタブレットを発表したばかりのOnePlusが、立て続けに「標準モデル」の投入を発表しました。
その名も「OnePlus Pad 2」。
OnePlus 15やOnePlus Ace 6と同時に、10月27日に中国で発表されるこの新モデル。しかし、熱心なガジェットファンほど「待って、その名前…」と困惑しているはずです。
それもそのはず。2024年にグローバル市場で発売され、日本でもAmazonなどで普通に購入できたモデルも「OnePlus Pad 2」でした。
なぜ同じ名前の製品が1年越しに、しかも全くの別物として登場するのか? この新しい「Pad 2」は、Proモデルと何が違うのか? そして、もし日本で発売されるなら、一体どんな名前になってしまうのか?
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1. 10月27日登場。これは「廉価版」ではない、もう一つのハイエンド
まず押さえておきたいのは、10月27日に中国でデビューする新型「OnePlus Pad 2」が、決して単なる廉価版(エントリーモデル)ではない、という事実です。
発表された主要スペックは、むしろ「ハイエンド」そのもの。
- プロセッサ: MediaTek Dimensity 9400+
- ディスプレイ: 3K解像度、144Hzリフレッシュレート
- メモリ(RAM): 12GB(予約注文ページより)
Dimensity 9400+は、QualcommのSnapdragonシリーズと真っ向から渡り合うMediaTekの最新フラッグシップSoCです。そして3K解像度の144Hzディスプレイ。これが「標準モデル」だというのですから、OnePlusがタブレット市場にいかに本気かが伺えます。
外観は、先に登場したProモデル(OnePlus Pad 3)と酷似しており、均一なベゼル、薄くフラットな側面、そしてポゴピン(キーボード接続用)を備えています。カラーはダークグレーとアズールの2色展開。
スタイラスペンへの対応、急速有線充電、ステレオスピーカーなどもProモデルから引き継がれると予想されており、隙のない構成となりそうです。

2. 最大の混乱ポイント。「OnePlus Pad 2」という名前、どういうこと?
問題は、その名前です。 前述の通り、私たち(特に中国以外のユーザー)が知る「OnePlus Pad 2」は、2024年に発売されたモデル(Amazon.comでも$499.99などで販売中)を指します。
にもかかわらず、OnePlusは2025年10月、中国国内向けに、全く新しい(そして遥かに高性能な)Dimensity 9400+搭載機を、再び「OnePlus Pad 2」として発売するのです。
これは、中国市場とグローバル市場での「製品名のズレ」が引き起こした混乱です。
3. Proモデルとの「違い」と、グローバル版「Pad 3 Lite」説の真相
では、この新しい「Pad 2」は、先に発売された「Pad 2 Pro」(グローバルでのPad 3)と何が違うのでしょうか。
現時点での最大の相違点は、搭載するプロセッサにあると考えられます。
- OnePlus Pad 2 Pro (Global: Pad 3)
おそらくハイエンドのSnapdragon(例:Snapdragon 8 Gen 4など)を搭載。 - OnePlus Pad 2 (China 2025)
MediaTek Dimensity 9400+ を搭載。
つまり、Snapdragon派とMediaTek派、両方のフラッグシップ需要に応えるためのラインナップと推察されます。
しかし、ここでさらに混乱が生じます。 2024年モデルと名前が重複するため、この新型「Pad 2」がグローバル展開される場合、100%別の名前が与えられることになります。
その最有力候補として挙げられているのが、「OnePlus Pad 3 Lite」です。
「Dimensity 9400+と3K/144Hzディスプレイを搭載しているのに『Lite』はおかしい」と感じるかもしれませんが、これはあくまで「OnePlus Pad 3 (Pro)」を基準とした場合の「Lite」という位置づけなのでしょう。
OnePlusの狙いは、Proモデルよりも価格を抑えつつ、パフォーマンスでは妥協しない「準フラッグシップ」のポジションを確立することにあるようです。

まとめ
今回のOnePlus Pad 2(2025年中国版)の発表は、期待と同時に大きな「?」を私たちに投げかけました。
搭載されるDimensity 9400+や3K 144Hzディスプレイといったスペックは、「これ、ガチ?」と声が出るほどの紛れもないハイエンド仕様です。製品単体として見れば、非常に魅力的で強力なAndroidタブレットの登場を意味します。
しかし、その一方で、「OnePlus Pad 2」という名前の“使い回し”は、消費者にとって明らかな混乱の元凶です。
もしこの高性能なタブレットが、グローバル市場で「OnePlus Pad 3 Lite」という、性能と名前がちぐはぐな名称で登場するのだとすれば、それはOnePlusのマーケティング戦略の失敗と言わざるを得ません。
私たちが今待つべきは、10月27日の正式発表で明らかになる「中国での価格」と、その後の「グローバル版の正式名称」です。製品のポテンシャルは間違いないだけに、この混乱がスッキリと解消されることを願うばかりです。
