定額制サービス「Nintendo Switch Online」のアップデートは、時にコアなゲームファンの熱狂を呼び起こす。今回追加されたゲームボーイ向け3タイトルは、まさにその典型例だ。最大の目玉は、マリオやゼルダの生みの親である宮本茂氏が手掛けたパズルアドベンチャー『モグラ〜ニャ』の配信開始。レトロゲームと侮るなかれ、現代の目で見ても色褪せない傑作群が、手のひらで蘇る。
1996年に任天堂とパックスソフトニカが共同開発した本作。主人公のモグラ「マディ」を操り、誘拐された家族を救うため地上と地下を行き来する。この二層構造のマップデザインこそが、本作をゲームボーイ史上最高峰のパズルゲームたらしめている所以だ。宮本氏特有の「プレイヤーに解法のひらめきを与える」緻密なレベルデザインは、当時を知らない若い世代にも新鮮な驚きを与えるだろう。海外コミュニティでも再評価の機運が高まっており、その巧妙な作り込みは現在のインディーゲーム市場における名作パズルと比較しても全く遜色がない。
同時に配信開始となった2タイトルも、単なる数合わせではない。
幽霊となった主人公が敵に憑依して進むアクション『ファンタズム』(1992年)は、そのシステムから「2D版スーパーマリオ オデッセイ」と評する声すらある隠れた名作。敵の能力を奪いながら進むテンポの良さは、携帯機との相性が抜群に良い。
さらに『ピンボール66匹のワニ大行進』(1989年)も忘れてはならない。HAL研究所が手掛けた本作は、洗練されたボール挙動と秀逸なBGMで、今なお最高峰のピンボールゲームの一つに数えるファンが多い。
近年、開発費の高騰と長期化に苦しむゲーム業界において、これら90年代のタイトルが持つ「アイデアの純度の高さ」は極めて示唆に富む。次世代機への移行が囁かれる中、任天堂が自社の強力なIP資産だけでなく、こうした知る人ぞ知る名作群をサブスクリプションの価値向上に活用する戦略は非常に賢明だ。
月額わずか数百円で、ゲームデザインの教科書のような歴史的傑作に触れられる。最新のグラフィックに目を奪われがちな今だからこそ、限られた制約の中で極限まで洗練された「遊びの原点」を体験してほしい。これらのタイトルは、Switchのライブラリにひっそりと、しかし確かな輝きを放ち続ける。
Source:任天堂


