ワイヤレスヘッドホンの「使い捨て」時代に、ゼンハイザーが終止符を打つかもしれない。本日発表された約4年ぶりの最新フラグシップ「MOMENTUM 5 Wireless」は、ユーザー自身でバッテリー交換が可能な修理対応設計へと舵を切った。単なる音質やノイズキャンセリングの強化にとどまらず、長期間愛用できるサステナブルな高級機としての価値を提示した点で、今このモデルが登場した意義は極めて大きい。
発売日は6月30日で、市場想定価格は税込み6万9960円。ブラック、ホワイト、デニムの3色で展開されるこの新型は、一見すると前モデルの洗練されたファブリックデザインを踏襲しているように映る。しかし、内部の進化は凄まじい。マイク数は従来の2倍となる計8基へと倍増し、特に日常で不快に感じやすい中音域のノイズキャンセリング性能を最大3倍へと跳ね上げた。
独自の42mmダイナミックドライバーによる高音質はそのままに、aptX LosslessやSnapdragon Soundへの対応、さらに将来的なBluetooth 6.0へのアップデート予告など、足回りも隙がない。ヘッドトラッキング付きのDolby Atmosによる空間オーディオも、コンテンツへの没入感を格段に高めてくれる。
連続再生時間は最大57時間と、前作の60時間からわずかに削られたものの、バッテリー残量を可視化する5つのLEDインジケーターや、自身の手で新しいリチウムイオン電池へ交換できる構造を採用したことを考えれば、トレードオフとして十分すぎる納得感がある。有線接続はUSB-Cと3.5mmジャックの双方に対応し、フラットに収納できるハードケースも付属する。


この仕様から見えるのは、競合するソニーやボーズへの強烈なカウンターだ。多くのプレミアムヘッドホンが「数年でバッテリーがへたって買い替え」を余儀なくされるなか、ゼンハイザーは自力交換という選択肢で1つの製品を長く使う喜びをオーディオファンに提案してきた。7万円弱という価格設定は決して安くないが、何年も使い続けられるポテンシャルを考慮すれば、むしろ長期的なコストパフォーマンスは競合を圧倒する。
音質至上主義だったゼンハイザーが、圧倒的な静寂と長く育てる道具としての実用性を融合させたMOMENTUM 5。ワイヤレスの寿命という構造的課題に一石を投じたこの傑作が、今後のプレミアム市場のスタンダードをどう塗り替えていくのか、6月末の発売が俄然楽しみになってきた。
Source:Sennhesier

