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アップルが長らく沈黙を守っていた「聖域」についに手を入れることになりそうだ。
2026年春、750ドル(約11万円台〜)という戦略的な価格設定で、新たな廉価版MacBookが登場するとの情報が確度を高めている。
これまで数年にわたり噂の域を出なかった低価格モデルだが、ここに来てサプライチェーンからの情報が具体的になってきた。注目すべきは、心臓部にMac用の「Mシリーズ」ではなく、iPhone上位モデル向けの「A18 Pro」を採用するという点だ。これは単なるコストダウン版ではなく、アップルがエントリー市場を根底から奪いにいく明確な意志表示と見ていい。
なぜ今、A18 Proなのか。理由は明白で、コストと性能のバランスが「ラップトップ」として成立する閾値に達したからだ。
A18 Proのシングルコア性能は、かつてPC業界を驚愕させたM1チップを凌駕し、マルチコア性能でもM1を僅かに上回る。ウェブブラウジングやドキュメント作成といった、一般ユーザーがPCで行う作業の9割はシングルコア性能に依存する。つまり、動画編集などの重い作業をしない限り、操作感はMacBook Airと遜色ないレベルを維持できる。
一方で、14インチMacBook Proや次期MacBook Airに搭載予定の「M5」チップと比較すれば、性能差は70%近くと大きい。しかし、この圧倒的な性能差こそがアップルの狙いだ。プロユーザーとライトユーザーの棲み分けを、チップのアーキテクチャレベルで明確に区切ることで、上位モデルのシェアを食うことなく、新たな顧客層を開拓できる。
価格帯は699ドルから799ドル、中心価格帯は750ドル前後が検討されている。メモリやフラッシュストレージの価格高騰という不安要素はあるものの、実現すれば現行のMacBook Airよりも一段安い価格設定となる。
この価格は、教育市場やChromebookが支配する領域、そして「iPhoneは持っているがPCはWindows」という層への強力なアプローチになる。
製造はFoxconnとGuangdaが担当し、2026年の発注数は500万台から800万台と予測されている。年間2200万台規模のMacBook Air市場に対し、初年度から強気な数字を積んできたことからも、アップルの本気度が伺える。
かつてネットブックが失敗したのは「安かろう悪かろう」だったからだ。しかし、A18 Proを積んだこのMacBookは「安くて十分に速い」。と思う…
2026年春、この「Aチップ搭載Mac」が市場に投入されれば、PCのエントリー市場の基準が一気に引き上げられることになる。スマホで十分と考える層を、再びラップトップの世界へ引き戻す起爆剤になるはずだ。

