スマホカメラの進化が止まりません。昨日までの「最高傑作」が、今日には「過去の遺物」へと変わる。そんな残酷なまでのスピード感の中、ついにXiaomi 17 Ultraがそのベールを脱ぎました。
ネット上では「もはや一眼レフ殺し」「夜景の概念が変わる」と騒がれていますが、果たしてその期待は本物なのでしょうか。発表直後に公開された、あの衝撃的な「花火ドローン映像」を軸に、この新型フラッグシップのポテンシャルを観ていきましょう。
Source:Xiaomi on Weibo

Light Hunter 1050Lがもたらす「夜景の実力」
今回の目玉は何と言っても、新開発の1インチイメージセンサー「Light Hunter 1050L」の搭載です。
前モデルのXiaomi 16 Ultraに搭載されていたソニー製LYT-900も、スマホの域を超えた素晴らしい描写力を持っていました。しかし、今回の1050Lは、数値上のスペック以上に「光の捉え方」が劇的に進化しています。
- 焦点距離: 23mm相当(王道の広角)
- 開放F値: 1.67(驚異的な明るさ)
特筆すべきは、公式サンプルから読み取れるダイナミックレンジの広さです。通常、夜空に打ち上がる花火を撮影すると、火花の中心が白飛びし、背景の夜空はノイズでザラつくか、真っ暗に潰れてしまいます。
しかし、Xiaomi 17 Ultraが映し出したのは、火花の繊細なグラデーションと、闇の中に溶け込む煙の質感でした。これは、単にセンサーを大きくしただけでなく、背後にある画像処理エンジンが「人間の眼が感じる美しさ」に限りなく近づいたことを示唆しています。




ドローン空撮で露呈した、動画性能の「エグみ」
Xiaomiは今回、非常に賢い(そして挑戦的な)プロモーションを仕掛けました。それは、このスマートフォンをドローンに積み込み、至近距離から花火を撮影するというものです。
ドローン撮影は、激しい振動と刻一刻と変わる光源という、カメラにとって最悪の条件下に置かれます。ここで公開された動画を見ると、暗部ノイズの少なさはもちろん、AF(オートフォーカス)の食いつきに驚かされます。
花火のような不規則な光の動きに対しても、フォーカスが迷うことなく、被写体をシャープに捉え続けている。これは、動画クリエイターにとって「重い機材を捨てて、スマホ一台で現場に行ける」という、ある種の解放を意味するのかもしれません。
誰も言わない「公式サンプルの裏側」を疑う
ここで少し、冷静になってみましょう。
私たちはこれまで、数多くの「公式サンプル詐欺」を目にしてきました。プロの照明、プロのレタッチ、そして完璧な気象条件。メーカーが提供する素材は、いわば「最高の化粧をした姿」です。
確かにLight Hunter 1050Lは強力ですが、1.67という明るいF値は、周辺減光や収差という新たな課題を抱えるリスクも孕んでいます。
また、ドローン映像が滑らかなのは、スマホ自体の手ブレ補正だけでなく、ドローン側のジンバルの恩恵も大きいはずです。
「このスマホを買えば、誰でも明日からプロ級の動画が撮れる」というのは、少し言い過ぎかもしれません。しかし、これほどまでに「不安」と「期待」を同時に抱かせるデバイスも珍しい。それこそが、Xiaomiが仕掛けた最大の魔法なのでしょう。

