Appleがついに折りたたみスマホの市場に王手をかけようとしています。その名も「iPhone Fold」。長らく沈黙を保ってきたクパチーノの巨人が準備しているのは、ライバルであるSamsungのGalaxy Z Foldシリーズとは全く異なる、ある意味で「異形」とも呼べる一台かもしれません。
最新のCADレンダリング画像から見えてきたのは、私たちの想像を裏切る「短くて広い」フォルムです。スマホは縦に長いもの、というこれまでの常識がガラガラと音を立てて崩れ去る。そんな予感に、期待と少しの戸惑いを感じているのは私だけではないはずです。
このデバイスは、単なる「画面が畳めるiPhone」に留まるのか、それとも私たちのデジタルライフを根本から変えるゲームチェンジャーになるのか。流出した詳細な寸法データを元に色々と考察していきましょう。
Source&image:iPhone-Ticker
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予想を裏切るワイド設計!「横幅の魔法」とは…
今回リークされた寸法で最も衝撃的なのは、折りたたみ時の横幅が83.8mmという点です。これは、現行のGalaxy Z Fold7よりも1cm以上も広く、どちらかといえば「デジタルな手帳」に近いサイズ感です。
設計を分析すると、Appleが何を解決しようとしているのかが明確に見えてきます。これまでの折りたたみスマホの多くは、外側のディスプレイが細長く、キーボード入力の際に指が窮屈になるという「入力のストレス」を抱えていました。
しかし、iPhone Foldのこのワイドな設計なら、閉じた状態でもフルサイズのiPhoneに近いタイピング体験が可能になります。SwiftUIなどの適応型レイアウトを駆使するエンジニアにとって、このアスペクト比は「スマホ用アプリを無理やり引き伸ばす」のではなく、「iPad miniの体験をポケットに収める」ための最適解なのです。
縦の長さを削り、横幅を確保する。これは賛否別れるデザインになりそうですね…手の大きい人は良いけど、小柄なユーザーは難儀するやもしれませんね。



市場競争力と「iPad mini」との境界線
ここで一つ、ニッチですが切実な不安が浮かび上がります。いまさらかもしれませんが「これ、iPad miniの立場はどうなるの?」という疑問です。
開いた時のメインディスプレイは7.76インチ。iPad miniとほぼ同じアスペクト比を持つこのデバイスは、もはやスマホの域を超えています。市場競争力の観点から見ると、Appleは「最も高価なiPhone」と「最もコンパクトなiPad」を統合しようとしているのかもしれません。
価格帯は間違いなくプレミアムなものになるでしょう。しかし、元々2台持ちを検討していたユーザーにとって、この「一台で完結する」という利便性は、トータルでのコストパフォーマンスを逆転させる可能性があります。
厚さも開けばわずか4.8mm。これは驚異的な薄さであり、iPhone Air(仮)よりも薄い設計です。ハードウェアとしての限界を攻めながらも、指紋センサーを側面に配置するなど、実用性を捨てていない点には、市場のニーズを冷静に見極めるAppleらしい堅実さが伺えます。
あなたの不安を解消する「ポケットへの収まり」
「そんなに横に広くて、ポケットに入るの?」という不安。これが一番の懸念点かもしれません。
確かに幅はありますが、縦の長さはわずか120.6mmです。これは現行のどのiPhoneよりも圧倒的に「短い」のです。ジーンズのポケットに入れた際、座った時に足の付け根に刺さるようなあの不快感。それが、このコンパクトな高さによって解消されます。しかし、前ポケットに入れようものなら、その存在感を周囲にお披露目する事になるでしょうね…
また、サブディスプレイが5.3インチと小さく感じるかもしれませんが、横幅がしっかり確保されているため、地図アプリやSNSの閲覧で「情報が狭苦しい」と感じることは少ないはずです。むしろ、片手でしっかりホールドできる絶妙な「塊感」は、これまでのスマホにはなかった新しい安心感を与えてくれるでしょう。

